マナーうんちく話680《冠婚葬祭7、結婚の目的とマナー》
日本人の圧倒的多数は仏教や神道を信仰していますが、神様・仏様のところに出向き、お願いをしたり感謝したりする多様な言葉が日本には多く存在します。
現在ではほとんど行われていないようですが、もともと日本には年末に「この一年間無事に過ごさせていただいたお礼に、神社・仏閣に出向き、手を合わせる習慣」がありました。
その際日本では「拝む(おがむ)」という言葉をよく使用しますが、神や仏に手を合わせて、頭を下げて、お祈りすることを「拝む」といいます。
太陽に対して、お願い事をするときにも「日の出を拝む」と言います。
太陽も生きていく上では絶対的存在だからでしょう。
あるお寺の住職から伺った話ですが、正月に願いをかなえるために初日の出を拝む人は多いのですが、大晦日に沈む太陽に感謝を込めて手を合わせる人は少ないそうです。
心にジーンときたお話でした・・・。
「拝む」ということは、尊いものや偉大な物の前で、お辞儀をしたり、手を合わせて敬意を表現したり、お願い事をするわけですね。
さらに神社・仏閣に出向き仏様に対して挨拶したり、お願いごとをするのは「お参り」と表現します。
ちなみにお寺は仏教で、鳥居はありませんが墓があります。
江戸時代には約30万存在していたといわれますが、現在では約75000でその中には住職のいない空き寺もあります。
一方お宮は神道で約81000社ありますが、お墓はなく鳥居があります。
またそれぞれ作法があります。
お寺は合掌しますが、お宮では柏手を打ちます。
お寺への謝礼の表書きは「御布施」ですが、神社は「初穂料」「玉串料」です。
いずれも「手水舎」で手や口を清める行為は共通しています。
また、話し相手に対して敬意を払い、行くことを伝える謙譲語も「参る」です。
「行く」、「来る」の謙譲表現として使用する場合もあります。
例えば《「晴れの国」岡山から参りました平松です》という具合です。
似たような言葉で「伺う」という言葉がありますが、この言葉は訪問したという意味で使用されます。
さらに伺うには「聞く」という意味もありますね。
加えて「参る」には、麻雀や将棋などで、相手に対して自分が負けたときに「参りました」と言います。
相手が神様・仏様でも人間でも「参る」という言葉を使用しますが、神社・仏閣やお墓に限定して使用する場合は「詣でる」という言葉があります。