マナーうんちく話553≪「和の作法」と「一回一動作」のお勧め≫
人が神様をおもてなしするという考えは年中行事の中に多く見られます。
春の「お花見」もそうですが、「正月」も「盆」もしかりでしょう。
中でも正月は大変大切なおもてなしの行事が多々あります。
12月は神様をお迎えする月といわれるくらい、準備が大掛かりです。
神様をお迎えするために「大掃除」をして家を清めます。
加えて神様の依り代になる「門松」を用意します。
「正月飾り」も手間暇かけますが、家の中で神様が鎮座される「鏡モチ」も用意しなければいけません。
そして正月には「おせち料理」でおもてなしします。
神様と人が一緒に使用する「神人共食箸(祝箸)」も柳の白木で用意します。
そして「とんど焼き」の煙とともにお見送りをして、一連の行事が無事終わります。
盆も同じように準備からお見送りまで大変です。
「迎え火」を焚いてお迎えし、「ご馳走」や「盆踊り」などでおもてなしをして、「送り火」を焚いてお見送りします。
胡瓜で馬を作り、お帰りを急いでいただき、帰られるときにはお名残り惜しいので茄で牛を作り、それに乗って、ゆっくり、お土産とともにお帰り頂くわけですね。
これが日本のおもてなしですから、おもてなしはいい加減な気持ちではいけません。
真摯な気持ちでおもてなしをしてください。
加えて日本のおもてなしは見返りを求めないのがいい点です。
今ではおもてなしといえばビジネスシーンで使われるようになりましたが、日本のおもてなしには、このような起源があるので、あくまで精神誠意、真心こめて!が基本です。
神様は当然人の目には見えません。
その目には見えないものに、見返りを求めず、真心こめてするのが日本のおもてなしということです。
見返えりを求めず、目に見えないものに敬意を払うとともに感謝し、神様に対して振舞う気持ちで酒や食べ物を供えたのが、日本のおもてなしの起源だと言えると思います。
ちなみに神道の起源は遠い昔にさかのぼり、キリスト教や仏教のように、経典もなければ教祖もいません。
八百万の神や自然や自然の現象に基づく多神教ですが、日本のおもてなしは常にこのような神様との関係の中で磨かれたわけです。
「神無月」は特に日本人としての粋な生き方を世界に発信したいものですね。