マナーうんちく話502≪会話の中に季節の話題を積極的に!≫
そして一番上段のお殿様とお姫様の下には「3人官女」が並びますが、この3人の女性はお殿様とお姫様のお世話をする超エリートで、今でいうキャリアウーマンです。
身の回りのお世話からしきたり、さらに細かな礼儀作法までの指導係でもあり、まだ二人が幼い頃から仕えて、婚儀にも同席します。
その3人官女の真ん中には眉がなく歯が黒い女性がいますが、この女性は既婚者です。
当時は結婚して子供が生まれると、栄養状態が悪かったので歯が抜けるけたのでしょう。
当然歯が抜けたら見栄えが悪いので、黒く塗って「見て見ないようにしよう」という思いやりだったわけですね。
裏方に徹するものを「黒衣(くろご)」といいますが似たような感覚だと思います。
3人官女の下には「五人囃子(ゴニンバヤシ)」が並びますが、この人はまだ元服前の幼い男の子で結婚披露宴を笛や太鼓で盛り上げます。
ところで桃の節句の「桃」という漢字は、きへんに「兆」とかきますが、この兆しは春の兆しのことで目出度い意味になります。
菱餅の「白」は清浄、緑は邪気を払うヨモギの緑で、紅色は魔除けの意味があるようですが、春になったので雪が解け、草木の目が芽吹き、やがて赤い花が咲くという説もあります。
また雛祭には「白酒」を作りますがこれも邪気払いの色です。
さらに「ちらしずし」や「ハマグリの吸い物」を作りますが、ハマグリは同じ貝でないと、上の貝と下の貝が合いませんから、夫婦円満や女性の貞操を意味します。
だから結納や結婚式の祝い膳には、ハマグリの吸い物が供されるわけです。
最近のひな人形は豪華な作りが多くなりましたが、豪華さを競うのではなく、ひな人形に隠された本来の意味を子どもに正しく教えたいものですね。
そしてひな祭りが終わったら4日には直ちに人形を片付けます。
これは「ハレ」の日から「ケ」の日へと切り替えるためです。
つまりいつまでもお祭り気分ではなく、元の勤勉な生活に戻るというけじめです。
旧暦ではひな祭りに頃は雨が多かったようで、長雨でカビが生えるからという説もあります。
但し、今でも新暦で行う地域もあれば旧暦のところもありますので、一概に何時から何時までとはいかないようですね・・・。
ところで生まれて初めての節句を「初節句」といいますが、女の子にとって桃の節句は貴重な意味があります。
ひな人形が、その女の子のお守りになってくれるわけですね。
ということは、親から子に伝わった立派なひな人形があっても、小さくてもいいから、その子専用のひな人形を一つは作ってあげたほうがいいと思うわけです・・・。