マナーうんちく話535≪五風十雨≫
12月は一年最後の月ですから「除月」と呼ばれますが、これに対して、一年で最初の月は「正月」と呼ばれます。
1月15日はその正月が半分過ぎた日になります。
「新月」をその月の初日とする太陰太陽暦が採用される前の日本では、「満月」をその月の初日にしていたようです。
その名残で、満月となる1月15日を一年の始まりとするのが「小正月」です。
勿論現在は新暦ですからあてはまりません。
1月1日は「大正月」で、1月15日を小正月として残った風習のようですが、最近ではすっかり暦から消えてしまいました。
この日に「小豆粥」を食べると一年の邪気を払うといわれておりますが、1月7日に、同じ目的で「七草粥」を食べ、11日には鏡開きで「ゼンザイや雑煮」などをたべたばかりですから、関心が薄いかもしれませんね。
ちなみに小豆の赤色は邪気を払う効果があると考えられております。
昔は物が豊かではなく、便利でもなかっただけに、時間はスローに流れていきます。
だから正月行事も、元日、三が日、松の内、さらに七草粥から小豆粥へと流れてゆき、正月気分が次第に薄れていくわけですね。
また元日を「男正月」、15日を「女正月」として、1月15日は特に主婦が骨休みをする地域もあるようです。
昔は男性優位のように思えますが、意外に女性にも優しかったかもしれませんね。
さらに1月16日は年に二回ある「藪入り」の日でもありました。
昔はほとんど住み込みで働いていたわけですが、7月16日と1月16日は、商家で働いている若者や、嫁いだ女性が実家に里帰りする日です。
7月15日はお盆で仏さまが里帰りする日で、1月15日は小正月で神様の里帰りの日ですから、それに合わせて自宅に帰り、神仏に手を合わせたわけです。
さらに地域により日にちは異なりますが、1月15日は「左義長」「とんど焼き」と呼ばれる火祭りがあります。
地域によっては1月14日が日曜日ですから、この日に行われるところも多いと思います。
もとは正月のお飾りや古いお札などを寺や神社にもちより燃やす行事でしたが、地域の公民館や運動場などで行われる場合も多いようです。
いずれにせよ、歳神様はこの煙に乗って天にお帰りになると信じられています。
またこの火で餅などを焼いて食べると厄払いになるとされています。
今も昔も、厄払いに対する思いは変わらないようですね・・・。
そのうち厄除けのロボットなどもできるのでしょうか・・・。
「七草粥」や「小豆粥」を食べたほうが気分的には、効果が大きいように思うのですが・・・。
※この文章の中で「厄除け」「厄払い」の言葉を使用していますが、後日その意味の違いに触れます。