マナーうんちく話673《「立春」と「慶事用熨斗袋」≫
国家として世界屈指の長い歴史を誇る日本には、古来より人生や生活の節目の大切な行事である、「冠婚葬祭」といわれる伝承された生活文化が存在します。
このような「しきたり」は、人工頭脳全盛の時代にはマッチ知れないと思うかもしれませんね。
しかし南北に細長く、国土の7割以上が山林で占められ、そして四季に恵まれた日本という風土の中を、平和に生き抜いてきた、先人の努力により築かれた、日常生活を豊かに暮らすための知恵です。
中にはすでに息絶えたものもありますが、現存するしきたりは日常生活で役に立つものばかりではないでしょうか。
企業の売り上げ対策に巧みに利用され、形を変えたものも多々ありますが・・・。
改めて冠婚葬祭の意味や意義を正しく理解し、命を慈しみ、一度限りの人生を大切にするとともに、その素晴らしさを次世代に伝える役割を担っていただきたいものです。
1月8日は冠婚葬祭の「冠」を代表する「成人の日」です。
1月7日に成人式が行われた地域も多々あるようですが・・・。
元々元服の時に冠をかぶる「花冠の儀」を意味したのが冠ですが、今では人の誕生から長寿の祝い等の通過儀礼全般を示します。
少年期から一人前の成人になり、社会人の仲間として認知される儀式が一般的に成人式ですが、昔はこれを「元服」と呼びました。
ちなみに昔は大人だけが冠を被ったわけですね。
江戸時代になると公家や武家に倣って町人でも元服を行ったようですが、その作法も簡単で、平均寿命も短かったので20歳よりかなり前に行われたようです。
今は物が豊かで便利で、しかも年齢が来れば誰でも成人式が迎えられますが、昔は一人前の男として認められるにはそれなりの試練があったようです。
これは世界共通のようですね。
日本でも地域により様々な試練が、成人になるために課せられていたようです。
例えば高い山にとじこもり、隔離生活を送ったり、高いところから川に飛び込んだり。
それでは女性はどうでしょうか。
女性には元服はなかったようですが、「成女式」なるものがあったようです。
例えば髪を結いあげる「髪あげの儀式」や、裳を着ける「裳着の儀式」などです。
また女性は「留めそで」のように、結婚を境に衣装が変わったり、眉が変わったようですね。
雛飾りに登場する「お歯黒」の女性も既婚者です。
ところで今は1月の第2月曜日が「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」日である成人の日ですが、もとは1月15日でした。
昔のしきたりは旧暦ですから、月との関係もあったようです。
つまり概ね15日頃は満月ですから、それにあやかったのでしょう。
昔の人は何かと満月に縁起を担いだようで、満月に「どうかこれから先も見守ってください」と祈ったのでしょうか・・・。
最後に、成人式を迎えた人は、無事成人になれたのは多くの人のおかげと感謝するとともに、改めて成人になるということはどういうことかについて考えて頂きたいものです。
すでに成人を超えている人は、今一度原点に立ち返り、改めて自分自身を見つめるのもお勧めです。