マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
1月7日の「七草がゆ」、節分の日の「恵方巻」、夏の土用の「鰻のかば焼き」、クリスマスイブの「クリスマスケーキ」、そして大晦日の「そば」など、日本には季節の行事に応じた特別の食べ物がたくさんあります。
中でも大晦日は、家族そろって食卓を囲み、そばを食べ、過行く一年に思いをはせる大変ユニークな日です。
この風習が「年越しそば」ですが、ではなぜ、大晦日に年越しそばを食べるのでしょうか?
様々な説がありますが、共通しているキーワードがありますので思い浮かべてみてください。
〇そばは比較的切れやすいので、一年積もり積もった禍を断ち切るため。
〇そばのように細く長く生きられますようにとの願いを込めて。
〇江戸時代には多くの飾り職人がいたようですが、仕事中に飛びちった金粉を、そば粉を練ったものでかき集めていたので、そばを食べると金運に恵まれると信じられていたので。
概ね以上のような理由がありますが、一言でいえば「縁起担ぎ」でしょう・
今のように人工頭脳が発達した時代でさえ、ほとんどの人が縁起を担ぎます。
友引には葬式をしないとか、仏滅の日に結婚式が少ないとか、初もうでが相変わらずにぎわい、縁起物の札や絵馬、さらにおみくじの売れ行きも相変わらずでしょう。
科学や医学が未発達な昔は、何かあれば神頼みをし、縁起を担いでいたのが容易に理解できそうですね。
「恵方巻」なんかもそうですね。滑稽ともいえる食べ方が流行していますが、まさに典型的な縁起を担いだ食べ方でしょう。
また、年越しそばを食べる風習は江戸時代中頃から定着したのではといわれています。
ちなみに、「喪中に年越しそばは食べない方がいいのでしょうか?」という問い合わせをいただくことがあります。
私は食べていいと思います。
なぜなら年越しそばは縁起を担いで食べるもので、「祝う」のものではないからです。
残された人が年越しそばを食べて、禍を切り、金運をつけ、長生きすれば、故人も喜んで下さると思います。
さらに日本には「引っ越しそば」という文化があります。
引っ越して来た時にそばを配るのは、「あなたの《ソバ》に来ました」という意味で語呂合わせです。
昔は縁起担ぎや語呂合わせが多いような気がしますが、今年の大みそかは、うんちくを語りながら、家族や仲間で、そばを仲良く、楽しく食べ、良い年を迎えてくださいね。