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コラム
マナーうんちく話1550《「親はなくても子は育つ」、復活させたい地域の絆》
2017年10月28日
秋の語源の一つに、食材が飽きる程市場に出回るから「飽き」が「秋」になった説がありますが、今の時期は美味しいものが多いですね。
特に新たに輸入されたものではなく、昔から好まれた日本人の伝統食は格別な味わいがあります。
そばやうどんもいいですが、この時期の「とろろ汁」も最高です。
健康志向のせいか「ねばねば食品」が推奨されていますが、「ツルツル・トロトロ・ネバネバ」がとろろ汁のだいご味で、日本人好みです。
「冷や飯を四五杯借りるとろろ汁」という江戸庶民の川柳があります。
山芋が手に入ったのでとろろ汁を作って家族で食べたが、食が進むので、ご飯が無くなり隣から借りてきたという意味です。
私が住んでいる「晴れの国」岡山の名物に「ママカリ」がありますが、その名前の由来もよく似ています。
ママカリは瀬戸内海でとれる「サッパ」という小魚ですが、大変美味しいからつい食べ過ぎてご飯が足らなくなったので、隣からご飯(ママ)を借りてくるという意味です。
脂がのる旬は秋で、丁度稲刈りや祭りのシーズンと同じで、ママカリ料理は岡山の郷土料理としても有名です。
ママカリを食べるときにせよ、とろろ汁の時にせよ、ご飯が無くなると隣から気軽に借りてこられる関係は実に良いものです。
昔は「向こう3軒両隣」の機能がしっかり働いていて、気軽にご飯や調味料などが貸し借りができる環境でした。
ちなみに「向こう3軒」とは、自分の家の向かい側の3軒で、両隣とは自分の家の左右2軒の家をさします。
つまり日常の生活で親しく交際している関係です。
昔は調味料の貸し借りや「おすそ分け」、そして夏の夕涼みなど、とかく交流が多かったものです。
近所付き合いが旺盛だったということです。
まさに有縁社会だったわけですね。
また《親は無くとも子は育つ》という言葉があります。
自分の親がいなくても、近所の大人がまるで我が子のように接してくれ、良い・悪いもしっかり教えてくれるので、子どもがはぐくまれるという意味です。
昔の親は働くことだけで精いっぱいだったので、あまり子供にかまってやれません。
だから子供は自然や目の前にあるものに溶け込んで逞しく生きてきたのでしょうが、周囲の環境はとても大切だと思います。
新しい政権が生まれるたびに教育問題が浮上しますが、本当に子供に将来を考えるなら、このような環境で子育てをすることも大切だと思うのですが。
いくら無償で上級学校に進学できるようになっても、家庭環境や近所付き合いが希薄な環境で育った子供は心配です。
さらに年に応じて、良好な人間関係を築く力も大切です。
子供を立派に育てるには、家族や地域の絆が必要不可欠だと考えますが、残念ながら今は「無縁社会」と呼ばれるような社会です。
政治の力で何とかならないものでしょうか。
長年様々な自立支援に関わって痛感しています。
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