マナーうんちく話535≪五風十雨≫
いつものことながら毎回歓迎できないものがあります。
ましてこの時期の大型台風はご免こうむりたいものですね。
大事に至らなければいいのですが・・・。
今年の秋は長引く秋雨前線の影響で、日照時間が極端に短くなり、野菜の生育が心配です。
しかし、気になるのは野菜だけではありません。
国政選挙後の政治のこと、そして日本の行く末のこともしかりですね。
ところで只今「土用」の期間ですがご存知でしょうか。
土用といえば夏の土用の鰻を思い浮かべる人も多いと思いますが、実は土用は一年に4回あります。
立春、立夏、立秋、立冬の前18日間を土用と呼びますが、暑中と呼ばれ暑さが厳しくなる夏の土用が一般的ですね。
しかし、春の土用、秋の土用、冬の土用にもそれぞれ季節特有の行事があったようです。
特に秋の土用は、秋から冬に季節が変わる節目ですから、厳しい夏の疲れが出やすくなります。
体調管理にご注意ください。
ちなみに、夏の土用には鰻を食べて体力増強を図るわけですが、秋の土用にふさわしい食べ物は、タマネギやダイコンやサンマだそうです。
そして10月23日は二十四節気の一つ「霜降」です。
秋が深まって、そろそろ霜が降りる頃という意味です。
実際に霜が降りるのは平地ではまだ先のことですが、地表や空気中の温度が0度以下になると霜が降り、朝晩の冷え込みはかなり厳しくなります。
農作物の多くは霜に大変弱いのですが、霜によって被害を受けることを「霜害」といい、冬と春に見られます。
また、その年の秋から冬にかけて初めて霜が降りるのを「初霜」といい冬の季語になっていますが、この分だと今年は例年より早くなりそうな気がします。
それから「霜は降りる」と表現されますが、空から降りてくるわけではなく、空気中の水蒸気が付着する現象です。
ではなぜ「降りる」と表現するのでしょうか。
昔の人は雪や雨などは天が決めることなので、雪や雨と同じように霜も空から降りてくると考えたかもしれませんね。
霜が降りる頃には紅葉も進み、楓や蔦の葉が色鮮やかになり、ストーブや炬燵が恋しくなり始めます。
さて話は再度「土用」にもどりますが、土用は二十四節気ではありません。
二十四節気を補う「雑節」の一つです。
二十四節気や五節句は中国から伝わりましたが、雑節は日本人の日常生活の中から生まれた文化です。
しかも雛祭、成人式、七五三などの年中行事のように、貴族や武家社会から生まれた文化ではなく、人口のほとんどを占めていた農民が農作業の目安として設けたものです。
つまり農民の生活の知恵と言えるでしょう。
このコラムでもすでに触れておりますが、雑節には土用の他、「節分」「彼岸」「社日」「八十八夜」「入梅」「半夏生」「二百十日」があります。
近年になってこの時期はハロウィーンイベント一色に染まりますが、この雑節こそ長い間日本人がはぐくんできた日本固有の文化です。
欧米文化をおおらかな気持ちで受け入れるのもいいかもしれませんが、先ずは自国の文化や作法を大切にしたいものです。