まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
9月に入り朝夕急に厳しい夏が過ぎ、秋がやってきた感じがします。
当分は暑さが残るとしても、気持ちの上ではすでに秋ですね。
秋から冬にかけても先人が大切に育んできた祭事がたくさんあります。
一つ一つの意味や意義を正しく理解して後世に伝えたいものです。
9月9日は5節句の中でも最も格式が高い「重陽の節句」です。
中国の影響が大きいわけですが、古来中国では奇数を陽の数として縁起が良いとしました。
その陽数の最高の数字である「9」が重なるから重陽と呼び、特にめでたいとしたわけです。
また旧暦では菊が旬を迎えるころなので「菊の節句」ともいわれます。
杯の酒の中に菊の花をちりばめて頂く「菊花酒」は有名ですが、菊の花に綿をかぶせて戸外に出しておいて菊の香りを移して、その綿で体をふく「菊の被せ綿(きくのきせわた)」も朝廷行事として定着していたようです。
明治の初めに旧暦から新暦に移行したので、季節感がずれ、この節句はほとんど知られていませんが、これは簡単にできるので菊酒と共にぜひお試しください。
延命長寿に効果があるとされています。
菊の花ことばは「高潔」ですが、平安貴族の気分に浸るのもいいですね。
さらに9月第3月曜日、平成29年は18日ですが「敬老の日」で、この日も全国津々浦々盛大なイベントが執り行われる日です。
日本古来の年中行事が西洋文化に押されて、年々薄れていく中、高齢化はますます進展し、高齢者は増え続けているので、この敬老の日は存在感が高くなりそうですね。
ちなみに日本人の平均寿命が50歳を超えたのは1947年だそうですが、今や人生100歳の時代ですから、60代や70代ではまだはなたれ小僧かもしれませんね。
ただし長寿を祝し、周囲の人もその恩恵にあやかる「賀寿」のイベントは、できるだけ「数え」で行ってくださいね。
高齢ですからいつ何が起きるかもしれません。だから早くするわけです。
みんなで寄り集まり祝宴を開けばいいでしょう。
さらに9月の下旬になると「お彼岸」があります。
お彼岸は「春の彼岸」と「秋の彼岸」がありますが、いずれも昼と夜の長さが同じになる日で、太陽が真東から登り真西に沈む日です。
昔は、極楽浄土は西に存在すると考えられていたので、ご先祖様と一番近くなれる時だと考え、ご先祖が眠っていると考えられるお墓に団子を持参してお参りするわけです。
ちょうど秋の7草の一種でもある萩が旬ですから、その名をとって団子に「おはぎ」と名付けたわけですね。
おはぎは米や甘味料や小豆を使用しますが、当時の人にとっては最高に贅沢な食材です。
昔の人がいかに先祖を大切にしたかということですね。
だから、できれば家族そろってお参りください。
こうすることにより家族のきずなが一層深まります。
ちなみにこの日にお墓参りするのは日本だけのようです。
彼岸に特別な風習が存在するのは、仏教国の中でも日本だけだということですね。
ならば余計に大切にしたい行事だと思うわけです。