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コラム
マナーうんちく話1469《大切にしたい「言葉のお洒落」と「敬語」②》
2017年5月25日
四季がある日本では季節にちなんだ美しい言葉が沢山あります。
降る雨や吹く風に関する言葉もそうです。
4月の風は「光る」と表現されますが、5月の風は「香る」といわれます。
確かに気温が高くなるにつて、草木の成長が促進される5月は緑も濃くなり、芳香を持った物質が葉から勢いよく放出される気がします。
風は目に見えませんが、香りや肌で感じることは可能です。
人の気持ちもそうでしょう。
発する言葉を通じてその人が敬意を抱いてくれているか否か、思いやりを有しているかどうかを察知する事は出来ます。
敬語の乱れが問題になり久しいですが、間違った言い方は相手を不快にします。
例えば「お名前を頂戴出来ますか?」をよく耳にしますが、名前はやり取りするモノではありません。
「お名前を教えていただけますでしょうか?」がいいでしょう。
病院での「患者様」もそうだと思うのですが・・・。
最近多くの病院で患者の呼び方が変わってきたと思います。
以前は「○○さん」だったのが最近では「○○様」と呼ぶ病院が増えた気がします。
教育や福祉や医療の現場に市場原理が導入されたために、病院でもおもてなしの気持ちを表現するためにあえて「○○様」と呼ぶのでしょう。
従来の「治療してあげる」から、「治療を受けて頂く」という意識に変わったからだと思いますが、いい面も有ればそうでもない面もあります。
「○○様」と言われると心理的距離が埋まらなくなる気がしますが、反面「○○様」と言えば、その後に続く言葉も自然に丁寧になります。
自分のことを「わたくし」と表現すればとても美しく響きますが、気の置けない者同士なら違和感を覚えるかも知れないのと同じ理屈ですね。
問題は呼ばれた人がどのように感じるかです。
どこの職場でも基本的な挨拶などは指導しているようですが、具体的な言葉遣いとなれば、個々に指導するのは至難の業です。
特に敬語は相手との関係を正しく判断して個々に使用するモノです。
つまり、相手との関係や心理的な距離を表現することにも成るわけです。
従って無理やりに強制すればおかしなことになりかねません。
「親しさ」と「なれなれしさ」は異なるということです。
また、慣れない敬語を無理強いするよりも、真心と思いやりの気持ちを込めて言葉を発した方がお洒落な言葉になる時もあります。
基本を正しく理解したうえで、相手やTPOに応じて適切に使い分けることが大事だと考えます。
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