マナーうんちく話521≪お心肥し≫
日本は国土の7割以上を山で覆われていますが、「山笑う頃」から「山滴る頃」は緑のグラデーションが一番美しい時節です。
さらに日本には四季の美しさを始め世界に誇る美しいものが沢山あります。
平和ブランド、礼節、和の心、おもてなしの心、長い歴史、長寿等もそうですが「日本語」も世界屈指の美しさを誇るのではないでしょうか。
しかし厄介なことに日本語は美しさと難しさが表裏の関係にあります。
ひとえに「敬語」のせいでしょう。
ちなみに敬語には「尊敬語」「丁寧語」「謙譲語」「美化語」がありますが、使用する際、それぞれの立場やTPOに応じて使い分けが必要です。
上司やお客様と立場や地位や年齢が違っても、敬語が上手に使えると心地良いコミュニケーションが出来ます。
しかし大変難しいのが敬語です。
日本語の中に存在する数えきれない位の敬語を巧みにこなすには、気の遠くなる努力が必要です。
「言葉美人」になるのは簡単ではなさそうですね。
メイクやファッションセンスを磨き、「見た目美人」になるためのお洒落もそれなりの努力が必要です。
でもあきらめるわけにはまいりません。
敬語の使い方もよく似ています。
敬語を敬遠するということは、美人になるのをあきらめるようなものでしょう。
なぜなら敬語は非常に美しい響きが有り、話し手の教養や品格が現れるからです。
「見た目美人」も「言葉美人」も、「難しいからこそ美しくなれる」と割り切って、基本を正しく把握して下さい。
ところで「敬語」の中の「尊敬語」は相手または第三者に対して、これを高めて表現する言葉で「します⇒なさいます」等です。
「丁寧語」はデス、マス、ゴザイマスに代表される言葉で単独では意味を成しませんが、丁寧に言うことで相手に敬意を表します。
「謙譲語」は自分を低く表現する事により、相手を高める言葉で「します⇒いたします」等です。
さらに「美化語」は自分の言葉を品良くするために使用します。
そして、これらは上手に置き換えることがポイントになります。
例えば「食べる」は尊敬語では「召し上がる」、丁寧語では「食べます」、謙譲語では「いただく」になります。
「見る」を例にとると尊敬語では「ご覧になる」、丁寧語では「見ます」、謙譲語では「拝見する」です。
「もらう」は尊敬語では「お受け取りになる」、丁寧語は「もらいます」、謙譲語では「頂く・頂戴する」です。
なお、尊敬語は相手側の事、丁寧語と謙譲語は自分側の事に使用します。
また敬語はむやみやたらに使用すればいいモノではありません。
以前にも触れましたが「お越しになられる」にように、敬語を重複して使用する「二重敬語」には注意して下さい。「お越しになる」が正解です。