マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
この時期畑仕事をしていると土の中から「ミミズ」が出てきます。
ミミズは夏の季語ですが、ミミズがいる土地は良く肥えている証拠だと言われています。
ミミズが出現するようになると蛙も活発になってきます。
蛙が沢山出て来るようになるとヘビも姿を見せるようになります。
この傾向は毎年変わりません。
ところでかの有名な道元は「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて
涼しかりけり」と読んでいます。
春を告げる鳥がウグイスなら、初夏のこの時期はほととぎす(時鳥)でしょうか?与謝野晶子や松尾芭蕉など名だたる歌人や俳人も詠んでいます。
空からはホトトギスの声ですが、地中からは「かわず」の声が聞こえてきます。
かわずは声が美しいので、あえて川に住んでいる蛙とは区別したとか・・・。
先人は鳥や虫の声にも敏感だったようですね。
ちなみに蛙が鳴くのは、冬眠から覚めた蛙が恋の季節を迎えたからだそうですが、蛙は縁起が良いのをご存知でしょうか。
「蛙=帰る」に通じ、無くなった物が元の場所に無事帰ると言われています。
だから蛙の置物も沢山ありますね。
そして食べ物では「タケノコ」が旬を迎える時期です。
最近は何もかも出回るのが早くなっていますが、暦の上では丁度今頃がタケノコの季節になります。
物が豊かな日本では殆どの野菜が缶詰や瓶詰など様々な形で一年を通じ味わうことが出来ますが、竹の子は数少ない初夏の旬を味わえますね。
また日本には縁起が良い言葉として昔から「松竹梅」がありますが、竹の子が大きくなれば竹になります。
竹の子の成長には目を見張るものが有ります。
だから家が栄えるということで縁起が良いわけですが、「竹の子の親勝り」ということわざがあります。
英語では《child is superior to parents》と表現されますが、良く似た言葉に「トンビが鷹を産む」がありますね。
竹の子は非常に成長が早いので、またたくまに背が伸びて親竹をしのぐのでこのような言葉が産まれたようです。
5月14日は母の日ですが、どんなプレゼントをもらうよりは、お母さんにとって一番嬉しいことは、子どもが身も心も健やかに成長する事ではないでしょうか。
今も昔も旬の竹の子のように、子どもの成長を願う母心は普遍だということでしょうか。
さらに「胸中に成竹あり」という故事が有ります。
日本は只今世界屈指の長寿国になりました。
長い人生の中において、どんな夢を描いていくのか?
母の日の、子どもからお母さんに語ってあげるのも素敵なプレゼントになるのではないでしょうか?