まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
菜の花畑に 入日薄れ 見渡す山の端 霞深し
春風そよ吹く 空を見れば 夕月かかりて 臭い淡し
大正の初めに発表された日本の唱歌《朧月夜》です。
春の夜に月がほのかにかすんでいる情景をうたった歌ですが、ほのかにかすむ情景の表現は、春と秋では異なります。
秋は霧で春は霞、そして霞は夜になると「朧」と表現されます。
朧月夜はまさに日本人好みの感性でしょう。
唱歌にも歌われ、源氏物語に登場します。
ところで4月4日は二十四節季の一つ「清明」です。
天地がとてもすがすがしくなり、明るい空気が満ちて全ての物が清らかになる頃とされています。
全ての生き物が春の息吹を謳歌する頃ですが、ピクニックにも最適の季節です。
山菜狩りもいいですね。
ちなみに「春の食卓には苦みを盛れ」と言われますが、もう一月もすればワラビやぜんまいの収穫が期待できます。
山菜の苦みは、冬の間身体に蓄積した老廃物を清める効果があると言われています。
食べ物もそうですが、なんといっても一年で一番清らかな「気」が満ちている時です。
こんな時には心も清めることをお勧めします。
では心を清めるにはどうしたら良いのか?
一番のお勧めはこの時期にお宮参りすることでしょう。
コンビニより多い神社ですが、実は一番身近に存在するにもかかわらず遠い存在になっているのが神社ではないでしょうか。
神社とのご縁が正月の「初詣」だけでは寂しすぎます。
もともと日本では、何かにつけ穢れを祓う習慣が存在する国です。
雛祭りも厄払いもしかりです。
節分の豆まきも正月のお飾りもそうでしょう。
また日本人なら誰でも「払えたまえ、清めたまえ」という言葉を聞いて育ったのではないでしょうか。
仏教で唱える「南無」は阿弥陀仏に帰依し救いを求める言葉ですが、神道では神様に近づくために祓い清めるのが大切だったようです。
「払いたまえ、清めたまえ、守りたまえ、幸いたまえ・・・」。
日本人の心に今なお脈々と生き続けている言葉です。
一年で一番清らかな時節だからこそ、邪気を払い、穢れを少なくして、心と身体を美しくして、清く正しく美しく生きていければいいですね。