マナーうんちく話535≪五風十雨≫
暦の上では3月11日頃から15日頃までは「桃始笑」とされていますが、26日から30日までは「桜始開」で、そして只今桜が見ごろになりました。
道元は「春は花」と詠んでいますが、昔の人はさぞかし春の花を心待ちにしていたのでしょうね。
その代表格はなんといっても梅と桃と桜ではないでしょうか。
ちなみに花が咲くことを昔は「笑う」と表現しています。
しかし桃は「笑う」ですが、桜は「開く」と表現しているのが興味深いですね。
また春の花の王様と言っても桜で、日本人の心の華であり、国を代表する花です。「桜前線」という言葉まで生まれ、毎年気象庁の職員が「開花宣言」をするのが風物詩になっているのもユニークな文化です。
桜には多くの種類が有りますが、今では桜と言えば「ソメイヨシノ」です。
咲きぶりもいいけど、散り際も潔いのが日本人の感性に合ったのでしょうか。
今グローバル化が急速な勢いで進展していますが、不必要に西洋かぶれすることなく、四季の美しい国へ生まれたことを感謝するとともに、祖国が育んできた素晴らしい価値観を再認識したいものです。
ところで歴史の教科書から聖徳太子という言葉が消えそうな気配がありましたが、なんだかんだと言っても日本は「和」を持って貴しとするお国柄です。
新幹線が北海道から九州まで開通し、あれだけ多くの電車が分刻み、秒刻みで、猛スピードで、安全に、性格に、かつ清潔な状態で運行されているのも「和する」力のおかげでしょう。
平和な国が明治から昭和にかけ世界大戦に巻き込まれ大打撃をこうむり、昭和20年に終戦を迎え敗戦国になりましたが、それから世界が驚く奇跡の復興を成し遂げ、今や世界屈指の経済大国、長寿国になりました。
これもひとえに「官と民の和」、「民と民の和」のほか様々な和のお陰でしょう。
さらに童謡「ふるさと」の歌詞に表現されているように「如何にいます父母、つつがなしや友がき」と謳われているように、当時は家族や近隣や友人に思いやりの心を発揮し、絆を深めることに価値を置いていました。
最近は西洋文化の影響でしょうか・・・。
なにかと「個性」「権利」「自分らしさ」など個性を尊重し大切にする風潮が強くなりましたが、これで何もかも幸せになれるとはとても思えません。
自然と寄り添い、個より和を大切にする古来の体質をとりもどしたいものです。
物の豊かさを始め効率や能率、利便性の追求ばかりでは幸せな社会はやって来ないということでしょう。
欧米文化の追従より、自国の歴史や文化や礼儀作法の素晴らしさを再認識し、次世代に正しく伝えたいものですね。
そのためには世界屈指の歴史を誇る母国に誇りを持つことが大切ではないでしょうか。
桜は美しく咲き誇るだけではなく、現代人に色々な事を教えてくれます。