マナーうんちく話504≪あなたなら、どう答える?≫
日本では「春は嵐と共にやってくる」といわれますが、西洋では「春はライオンと共にやってくる」と言われます。
加えて「春に3日の晴れ無し」という言葉もあります。
秋の空と同様春の天気も移り気が激しいということですね。
「女心と秋の空」、そして「男心と春の空」とはよくいったものです。
マナーも天気の様な一面が有ります。
新入社員向けのビジネスマナーの様にはいかないのが常でしょう。
特に中高年のマナーとなると高度な振舞いが必要になるシーンが多々あります。
例えばビジネスマナー教本に書かれている名刺交換のシーンや挨拶の場面などもしかりです。形通りにいかないケースも多々ありますので「なんのためにそうするのか?」、その理由を理解することが大切です。
ところで人の話を聞く時には「目を見て」が基本ですが、時と場合によってはうつむいた状態で聞くこともあります。
さらに「聞こえないふりをする」時もあります。
また、食事を共にしている時に相手がマナーにそぐわない振る舞いをする時もあります。
そんな時にはそれを指摘するより、あえて「気づかないふり」をすることも大切です。
例えば接待で料亭に食事に行きました。
お客様が、出てきた「お絞り」で顔を拭いている姿は、お世辞にも素敵なマナーとは言えません。
しかし、お客様に「マナー違反ですよ」とは言えません。
こんな時には、相手が顔を拭いている間は、見て見ないふりをするのも大切なマナーです。
さらに上級者になると、相手と同じ行為をあえてする場合もあります。
このような話しは世界中には沢山あります。
招待客がフィンガーボールの水を飲んでしまったので、自分も同じ行動をとった英国貴族の話は有名です。
ここでのポイントは「マナーとは自分がハジをかかないというより、相手にハジをかかせない」ために存在するということです。
こんな話もあります。
殿様が食事をしている時にご飯の中に虫がいました。
その殿様はあえてそのご飯を「虫がいるのを気がつかないふりをして」そのまま食べました。
理由は、「ご飯に虫がいる」と殿様が怒れば、ご飯を作った料理係が処罰されるからです。この殿様の思いやりこそ素敵なマナーです。
さらに、人に自慢話をしないのはマナーですが、相手が自慢話をしてきたらそれを笑顔できちんと聞いてあげることは素晴らしいマナーです。
マナーの上級者は、どんな時にも「相手の意をくみ取ること」に専念します。
特に相手が若者や高齢者の場合はなおさらです。
マナーは「思いやり」や「感謝」や「尊敬」の気持ちを抱き、それを言葉や態度や文章等で具体的に表現することですが、今のように多様化した時代でしたら表現方法はまちまちです。
人と連絡を取る場合も、今ではメールを利用する機会が多いようですが、相手が高齢者の場合は電話やファックスがいい場合もあります。またお願いの儀で有れば手紙がいいでしょう。
挨拶しかりです。
会釈、敬礼、最敬礼といった形にこだわるより、時と場合、相手により臨機応変がいいですね。