マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
12月28日は「御用納め」ですね。
ちなみに「御用」とはよく時代劇で聞かれますが、本来は朝廷や幕府の公用のことです。
従って御用納めとは、国や地方公共団体等の年内最後の仕事日と認識して頂いたらいいと思います。
民間企業は「仕事納め」という表現を使いますが、最近ではいずれも仕事納めという言葉が主流になっているようですね。
但し民間の場合は業種により、正月がかきいれ時になるような業種もあるので「仕事納め」には縁のない企業もあります。
ところで仕事納めと共に、そろそろ正月準備に取り掛かる人も多いと思いますので「正月飾り」や「正月料理」に触れておきます。
数ある年中行事の中でも「お正月」は日本人にとって最も大切な日です。
特に旧暦の正月は歳神様と共に春を迎える喜びでもありました。
そして日本独特の考え方に基づき、色々な準備をして歳神様をお迎えして、お持て成しをする日で、清浄に、そして晴れやかに過ごします。
最近は正月の「在り方」や「過ごし方」が大きく異なってきましたが、新年に当たり「今年も良い年でありますように」と願う気持ちは普遍です。
だから「元気で実り多い年になるように」との思いを込めて、入口に「門松」を置き、玄関には「しめ縄」を飾り、床の間には「鏡餅」をお供えします。
そして「お節料理」でお持て成しをしますが、それぞれに色々な思いが込められています。一つ一つに込められた意味を理解することで、正月がより神聖で意義深いものになります。
●門松
歳神様が里帰りされるに当たりその「依り代」になる役目が有ります。
松は葉が上に向いているので「あたかも手を上に広げて神様を待つ姿」になるので、松は「神様を待つ木」でもあります。
加えて常緑樹ですから縁起が良いとされており、これに真っすぐ伸びる「竹」を組み合わせ現在に至っています。
●注連縄飾り
正月は神様が里帰りされるわけですから、家の中を清めなくてはなりません。
しめ縄を飾るということは「家の中の邪気を払い、年神様をお迎えする準備がきちんとできていますよ」という意味です。
ちなみに注連縄は外と内の境界を意味します。
豊作を祈願し稲藁(わら)で編みます。
●鏡餅
鏡餅は里帰りされた歳神様が鎮座されるところで、古くから「鏡」には神が宿るとされています。
「ウラジロ」や「ゆずりは」の葉の上に置きます。そして餅の上には昆布や橙や干し柿を載せます。
ウラジロは身の潔白を意味し、「ゆずりは」は新しい芽が出ないと古い葉が落ちないので縁起が良いとされています。つまり、親が健在な時に次の子が育つからお目出度いわけですね。また「ゆずりは」は「譲る」に通じ、子孫が繁栄するから縁起が良いとされています。
昆布は喜ぶに通じ、橙は代々栄えるので縁起が良いとされています。
そして干し柿は「幸せをかき集める」から縁起がいいとされます。
飾る時期ですが、門松は早くから飾る場合が多いようですが、その他のものは28日か30日がお勧めです。
特に28日は「末広がり」の日ですから縁起がいいとされる日です。
29日は「二重苦」に通じ、31日は「一夜飾り」で神様に失礼になるとされています。
次回は正月量に込められた思いに触れます。