まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
クリスマスセールたけなわですが、12月21日は二十四節気の一つ「冬至」です。夏至の反対で、一年で一番昼が短くて夜が長い日で、つまり「陰」の気が最も極まる時です。
今は暖房器具や照明器具に恵まれ、そんなに不自由する事はありませんが昔は大変です。
暗くて寒い時が一番長い日ですから、恐怖心も募ります。
加えて何をするにも不自由で、着るもの食べ物にも苦労する、まさに一年の中でも最悪の日です。
しかしこの日を境にして、明日からは日毎に昼が長くなってくるわけです。
「事態が明るい方に向いてくる日」ということも言えます。
「一陽来複」という言葉が有ります。
男性ばかりの中に女性が一人いることを「紅一点」と言いますが、一陽来複とは「陰」ばかりのなかに「陽」が一つ産まれてきたという感じでしょうか。
従って一陽来複という言葉は「どん底の日からのスタート」とも言えそうです。
たまに結婚式を仏滅の日に挙げるカップルがいましたが、最悪の日にスタートを切れば、後は上昇するのみといったとらえ方です。
旧暦では一年で最も寒い「立春」が始まりの日、つまり今の正月でしたが、さらに古くは一年で最も夜が長い冬至が始まりの日でもあったようです。
現在でも冬至には柚子湯に浸かる習慣が有りますが、その理由は「冬至」と「湯治」のごろ合わせだといわれています。
加えて、柚子を「融通」に掛けたという説もあります。
「融通のきく人になれ」と諭したのでしょう。
しかし別の意味もあるようです。
冬至を一年のスタートとして捉えると、その日には身体を清める必要があります。その清める役目をするのが「柚子」の香りです。
我が家でも毎年「柚子味噌」や「柚子ネード」をつくりますが、レモンとは一味異なる何とも言えない香りです。
さらに、昔から「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひきにくい」ともいわれます。カロチンやビタミンが豊富なのでそのように言い伝えられたと思いますが、冬至には幸運を呼ぶ「ん」の字がつく食べ物で縁起を担いできたようです。
カボチャは夏野菜ですが、数ある夏野菜の中でも保存が効くので、野菜が不足し、生命力の落ちる冬まで持たせたのでしょう。
まだあります。
あまり話題になりませんが、冬至には体を温め、邪気を払う効果があると言われる「小豆粥」もお勧めです。
先人の感性は素晴らしいですね。
そして現代を生きる者としても、見習いたい点が多々あるように思います。