マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
日本には一年を24に分けた「二十四節気」が有りますが、それには大きな節目が4つあります。ご存知でしょうか?
夏の「夏至」と冬の「冬至」、そして春の「春分」と秋の「秋分」の「二至二分」です。
つい先日まで厳しい残暑が続いていましたが、度重なる台風の影響ですっかり秋の気候になりましたね。
本当に季節の移り変わりは不思議な気がします
9月22日は「秋分の日」で国民の休日です。
「春分」と同じように、昼と夜が同じ長さになる日です。
加えて太陽が真東から昇り、真西に沈む日です。
昔はご先祖が住んでいる極楽浄土は真西に存在すると考えられており、秋分の日はご先祖と一番近くなる日になるのでお墓参りをしました。
ここまでは春分の日も秋分の日も同じです。
では「秋分」と「春分」の違いはどこにあるのでしょうか?
「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、春分の日はまだ寒いので上着が必要です。これに対して秋分の日はまだ暑いのでクールビズの期間です。
秋分の日と春分の日では平均気温が10度位異なります。
さらに決定的に異なる点は、「春分の日はこの日を境に夜が短く昼が長くなります」が、「秋分の日からは夜が日毎に長くなり昼が短くなります」。
またお彼岸にお供えする団子は、秋は萩の花にちなみ「お萩」と呼び、春は牡丹の花が咲く時なので「ぼた餅」と呼びます。
食材は同じですが季節を彩る花により呼び名が異なるわけです。
ちなみに食材には米、甘味料、小豆などが使用されますが、これらは当時の人にとっては最も貴重なモノです。それらを惜しげもなく使用してお供えするということは、如何に祖先を大切にしたかということです。また小豆には邪気を払う効果が有ると言われています。
加えて春は豊作を「祈願」し、秋は豊作に「感謝」するお供えだったとも言われていますが、実った穂が垂れ下がり、間もなく稲刈りが始まり、まさに収穫の秋を迎えるわけです。
ところで「お盆」と「お彼岸」の違いをご存知でしょうか?
お盆はご先祖が里帰りされる日で、迎え美を焚いてお迎えし、盆踊りやご馳走でお持て成しをして、送り美を焚いてお見送りする行事です。
つまり「先祖を迎えて供養する日」です。
一方お彼岸は、こちらから出向いて先祖に感謝する日です。先祖は家に帰りませんので墓参りが中心になります。盆が供養する日ならお彼岸は「先祖に感謝し慕う日」だと認識すればいいでしょう。
先祖を敬う心や極楽浄土への信仰など、様々な事柄が融合して日本独特の風習になったと思いますが、いくら時代が変わろうとも大切にしたいものですね。