マナーうんちく話535≪五風十雨≫
台風のせいもあり厳しい残暑が少し落ち着いた感じですね。
いよいよ本格的な秋の到来といったところでしょうか・・・。
9月7日は、大気が冷えて露を結ぶ頃で、二十四節気の一つ「白露(はくろ)」です。朝夕がめっきり涼しくなり、草花の葉先に露が降りて、それが白く光って見える頃という意味です。
日中はまだ30℃を超える暑さですが、朝夕が非常に涼しくなるので寒暖の差が大きくなり、朝方になると草や花の枝に露がおり易くなるわけです。
秋の趣がひたすら感じる頃でもあり、月が大変美しく見えるようになります。
丁度その頃の露ですから、お月様が夜にこぼした露、つまり「月の雫(しずく)」とも呼ばれます。
先人は実に素敵な名前をつけたものですね。
但し今「月の雫」といえば、菓子・酒・香水及び歌の名前を思い起こす人の方が多いかもしれませんね。
他にも露は「涙」にも例えられ、蝉や蛍のように「儚い物」の象徴でもありました。
反面、太陽の光を受けて、小粒のダイヤモンドを散りばめたようにキラキラ美しく輝くので「宝石」にも例えられ、その密やかな美しさに魅了されてきたのも事実だったと思います。
このような美しい玉水を「白い露」と呼んだ先人の繊細な感性は、今でも脈々と伝えられ、秋を代表する美しい季語として慕われており、和歌、詩、俳句にも好んで用いられています。
《露の玉 つまんでみたる わらは哉》(小林一茶)
ちなみに、木や草自身から出た水分が、液状の大粒になったものは「露玉(つゆだま)」といいます。
そして後日詳しく触れますが、9月9日は五節句の一つ「重陽の節句」、別名「菊の節句」です。
菊の高貴な香りと美しい白露を組み合わせた平安貴族のとても素晴らしい風習が有ります。
秋の風流が楽しめて、誰でも簡単に出来ますので是非お試しください。