マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
日本選手団のメダルラッシュに沸いたリオオリンピックが閉幕して、4年後の東京に聖火が託されましたね。
名残り惜しい気持ちもしますが、健闘をたたえる拍手を、心を込めて贈りたいものです。
オリンピックも終わりましたが、「厳しかった夏もようやく終わりますよ」という晩夏の季語に、「夏の名残り」「夏惜しむ」「秋隣」がありますが、何事もいつかは終わりが来るということでしょうか。
暑い暑いと言って生活した夏ですが、ようやく峠を越え、これから少しずつ過ごしやすくなってきますからもう少しの我慢です。
ところで8月23日は二十四節気のひとつ「処暑」です。
朝夕に涼しい風が吹き、ふと秋を実感できる頃ですね。
今までのミンミンゼミがツクツクボウシに、入道雲が鱗雲などにも変わります。
そして「秋の七草」が順に咲く時期でもあります。
秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七草の花
萩が花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝顔の花
山上億良が万葉集に寄せている歌ですが、この七草は皆一斉には咲きません。
最初にお目見えするのは「女郎花」でしょうか。
我が家の庭にもお盆前には咲きましたが、山や道沿いには「萩」も咲き乱れています。また、先日山で「桔梗」が咲いているのをみかけました。ほぼ毎年同じ場所に咲いているので慣れた所だと解りやすいものです。
ちなみに七草の歌で詠まれている「朝顔」は「ききょう」のことだと言われています。
加えて「尾花」は「芒(すすき)」のことですがそろそろです。
「葛花」もすでに見かけましたが、10月になると「藤袴」もおめみえするでしょう。
今は秋の七草を注意深く観察する機会は少ないでしょうが、当時の人は秋の七草を指折り数えて待つのが大きな楽しみだったのでしょうね。
特に平安貴族は避暑用に別荘を有していたと言われていますが、そこで秋の七草などを詩に詠んでいたのでしょうか。
万葉集で一番多く登場する花は「萩」ですが頷ける気がしませんか。
日本人が自然を大切に思い、自然と共生する気持ちがよく理解できそうです。
これからは農作物に実りが生じ、涼しい風が吹き、食べ物や花も楽しみの季節ですが、良い事ばかりではありません。
只今日本列島を台風が直撃していますが、この時期は同時に台風シーズンの到来でもあります。
くれぐれもご自愛ください。