まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
昔から「他人の名前が出て来なくなったら鰻を食べろ」といわれるように、鰻には精力をつけるだけでなく様々な効用があったようですね。
一方、時代とともにさらに美味追求ということになり、同じ鰻でも益々贅沢な食べ方が生まれます。
今までは丼の中に入れて食べていた鰻を、重箱に入れて食べるようになったのが「鰻重」です。
丼ではなく漆器を使用するわけですから、鰻は益々高級料理になります。
ちなみに鰻重が登場したのが大正時代だと言われています。
需要と供給の関係で鰻は時代と共に高級品になり価格も高くなりましたが、それに代わって鰻の味に似せた「ナマズのかば焼き」が人気を呼んでいますね。
但しナマズのイメージからすると、格式の高い漆器の重箱には合わないような気がしますが、如何でしょうか?
調理の仕方も大きく関係すると思います。
日本では確かにウナギよりナマズが多く、湖や池や川や田んぼの脇の細い用水路等にもいます。
このように、どこにでもいるごくありふれた魚ですが、スーパーやコンビニで売られていません。なぜでしょうか?
それはさて置き、鰻重の美しい食べ方に触れておきます。
先ず蓋をそっと開けて下さい。
蓋物はどれも同じですが、基本的には器の外側に置き、本体と重ねないでくださいね。
なぜ蓋をそっとあけるか?といえば、蓋を空けた時に香りを楽しむためです。特に鰻重は独特の香りが有りますので、これを逃す手は有りません。
次に食べ方ですが器の左下から右に移り、下段を食べきって下さい。
この時点で180度器を回転させ、吸い物を楽しんで下さい。
さらに左から右に向かって食べます。
次第に量が少なくなったら器を持ってもいいですがこの際、器に口を持っていかないように注意して下さい。
勿論器を置いたままでも結構ですが、その際は左手を器に添えて下さい。
終わったら蓋をして下さい。元の状態にして下さいね。
割箸は箸袋に納めて下さい。
最後に鰻重には「奈良漬」が付き物ですが、これにも合理的な理由が有ります。
奈良漬は江戸時代に奈良の漢方医が作ったといわれていますが、瓜を酒粕で漬けたもので、これが鰻に多量に含まれているビタミンAを効率よく吸収してくれるそうです。