マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
6月21日は一年で一番昼が長い「夏至」ですが、全国的に雨模様ですから実感できそうもありませんね。
大雨にご注意ください。
ところで最近は、夏至と冬至には「キャンドルナイト」が流行っているようですが、電気を消し、天然の光で夏の短夜をゆっくりと過ごすのもお勧めです。
ちなみに冬至には「かぼちゃ」を食べますが、夏至には何を召し上がりますか?
これと言う食べ物は決まってないようですが、地域により様々な物が食されます。
例えば、植えたばかりの稲の苗がしっかり着くことを願って「蛸」を食べる所もあります。加えて「冬瓜」や、「水無月」という和菓子を食べる地域もあります。そして夏至と縁が深い食べ物が「うどん」ではないでしょうか?
【夏至にうどんを食べる理由】
田植えの最中の所では、多忙を極めます。
今でこそ大型機械化され、効率よく簡単に田植えが出来ますが、昔は大仕事です。だから手軽に食べられて、エネルギー源になり、しかも満足感が味わえるうどんが重宝されたようです。
【うどんの歴史的背景】
江戸時代には様々な文化が開花しますが、特に食文化は著しい発展を遂げ、現在の基盤になったものが多々あるようです。そして江戸っ子スタイルの食文化に大きな影響を受けたのが今の「和食」ではないでしょうか。
「初物」や「旬」を大切にしながら、穀物や魚や野菜の個性に寄り添い、それを上手に活かしてきた点は素晴らしいと思います。
また小麦やコメなどの粉を水で溶き、細長い棒状に仕立てた料理は、日本の「うどん」や「そば」に限らず世界中至る所に存在します。
現在の「うどん」は仏教と共に、奈良時代に日本に伝わったと言われる麺料理ですが、江戸幕府が開かれる頃になると「うどん」と呼ばれるようになり、広く一般庶民に普及したそうです。
【うどんとお菓子屋】
その当時は、今のようにうどんの専門店は有りません。
なんとお菓子屋さんがうどんも扱っていたとか・・・。
つまりお菓子作りのかたわら、片手間にうどんを作っていたとか・・・。
そういえば、「うどんあんみつ」「あげうどん」「きなこうどん」などの、うどん関連のお菓子は結構有りますね。
【薬より良く効くうどん】
この時期のうどんは単に美味しい食べ物というだけでなく、色々な効能があったようです。今のように薬に恵まれていない時代のことですから、病気の時には色々な物がためされたのでしょう。
《医者どのは 結句うどんで 引っかぶり》という川柳があります。
「風は膳の下をくぐる」と言われますが、今でもこの言葉は生きています。
つまり風を引いた時には、むやみやたらに薬に頼るのではなく、温かいうどんを食べてそのまま布団に入るということを、当時の医者が実行していたということですね。
患者に処方する風邪薬がいい加減なものなので、それをよく知っている医者は、自分が風邪を引いたら薬よりうどんに頼っていたのかもしれませんね。
次回はうどんの食べ方のマナーに触れてみます。