マナーうんちく話1234《野菜の個性と美しい食べ方》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:洋食のテーブルマナー

今の日本は年中野菜に恵まれていて旬がはっきりしないものが多いようですが、「ラッキョウ」や「梅」は旬が明確です。

ラッキョウはカレーのつけ野菜に重宝されますが、梅は熟れ具合によって用途は様々です。完熟して色づき、木から落ちる位になった梅は生でそのまま食べるのが一番でしょう。それより少し前の梅は梅干しに、まだ青い状態の者は梅酒に適しています。

特に梅干しは女性の「つわりの時の特効薬」や「疫病対策」として貴重品だったようですが、梅の漬物とは言わず、あえて梅干しと表現するのは「干す」と言う動作が加わるからです。

《梅干しは日向ぼっこで色が出来》という川柳もあります。

ところでこれから梅雨の恵みを受けて一気にトマト、胡瓜、茄子、おくら、かぼちゃ、ピーマン、とうもろこし、ゴーヤ等の夏野菜が成長しますが、それぞれかたち、色、かたさ、匂い、質感などにおいて特徴を備えております。

だから肉や魚を食べる時と同様、野菜を食す時にはその個性を正しく理解しておくことが大切です。

最近は益々野菜の種類も多くなり、市場には何百種類もの野菜が出回っていますが、今口にしている野菜はどんな野菜で、どんな個性を持っているのかを把握すれば、より食事が楽しくなります。

例えば一口に「トマト」と言っても日本だけでも120種くらい栽培されており、それぞれ個性があります。大きさもまちまちですが150g以上は大玉トマト、40gから150gまでは中玉、40g以下は小玉トマト、いわゆるミニトマトと分類されています。

「胡瓜」はイボがポイントです。白イボと黒いイボ、あるいはイボなしキュウリもあります。中国から日本に入ってきましたが、あまり評判がよくなく「にが味が強く、害多く能無し」と称された時代もあったとか・・・。
また世界一栄養価が無い果実だそうです。でもフルシーズン野菜サラダで大活躍です。

「なす」は奈良時代に日本に入ってきたと言われていますが、江戸時代には「初がつを」と対比される位人気があり、まさに夏野菜の代表格です。
姿かたちや色も色々ですが、原産地の東南アジアでは白や緑が一般的で、そのため英語ではeggplant(卵の植物)と表現されます。煮ても焼いても揚げても美味しく、品種の特徴に応じた調理を楽しみたいものです。

以上野菜の特性を理解することも大切ですが、「食べ方」にも工夫が必要です。

洋食では「野菜サラダ」を好まれる方も多いようですが、洋食は器を手で持ちません。だから非常に食べづらい思いをされた方も多いと思います。

まして様々な個性がある野菜ですから食べ方も色々です。
この時に美しく食べるポイントは、フォークのみならず、ナイフを上手に利用することです。

たとえば「ミニトマト」をフォークで突き刺して食べる時、フォークだけだったら上手にミニトマトは刺せません。しかしナイフで壁を作れば上手に刺せます。機会が有れば是非試して下さい。

また薄くて小さい野菜は、一枚ずつではなく何枚も重ねて厚みを作ればいいでしょう。ドレッシングもかけている時もあるし、別添えの場合もあります。
別添えの場合は、先に一口味を見て、それに応じて少しずつかけて食べて下さいね。先ずは「味見」がポイントです。

加えて和食の場合、箸で大根などを切る時には、箸を入れる順番を大切にして下さい。先に縦に切って、次に横に切ります。自分の口に合わせて一口サイズに切るのがいいでしょう。和食は切る順番が大切です。

レンコンやゴボウのように箸で切れない固い野菜は、そのままかじればいいですが、一度かじった野菜は器に戻さず、そのまま何口かに分けて食べきって下さい。概ね3口位がお勧めです。

加えて、ぬるぬるした掴み難い野菜は、器を傾けて、野菜を器のヘリに寄せて掴めばいいでしょう。この時なるべく「刺し箸」をしないよう注意して下さい。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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