マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
先週「初物」に触れましたので、今回は「旬の物」を取り上げてみます。
初物に比べ、収穫期や漁獲期に達した野菜や魚は味もよくなり、栄養価も高くなります。
初物に比べ珍しさはなくなりますが大量にとれますので、値段も手ごろになります。魅力的要素が揃うことですが、これがいわゆる「旬の物」です。
旬の食材には、その食材の本来の風味や味があり、季節感を楽しむことが出来ます。だから、料理に旬の物を積極的に取り入れるのは味、栄養価、見栄え、経済性等誠に理にかなっています。
ちなみに、初物は「旬の物」より前になりますが、旬を過ぎれば「旬はずれ」と呼ばれます。
旬の前の「初物」、旬の「出盛り」、旬の「はずれ」を大切にしながら、季節の移ろいを楽しむのも心豊かな暮らしです。
但し大体それぞれ2週間位ですから、期間にすれば6週間位に限定されます。
しかし今の日本では現実的にはかなり矛盾が多いようです。
食料自給率は低いのですが、金にものを言わせ多くの食材を輸入しています。だから一年中何でも食べられます。
加えて、何でも商業的に盛り上げてしまう力を持っています。
なにかあれば「○○フェア」とか「△△祭り」等のイベントを展開します。
例えば「イチゴフェア」もそうですね。
確かに美しくて見栄えが良く、食欲をそそります。
しかし土の匂いや太陽の味はあまりしないですね。
私は自分で野菜を作っていますので良く解りますが、採れたての野菜は独特の匂いや味があります。
往往にして、外食の時には、みかけはいいけど、それがあまり感じられません。
つまり見かけだけの贅沢と言うことでしょうか。
外国では日本のように年中何でも食べることはできません。
その季節にとれたものを食べるのが当たり前です。
昔の日本もそうでした。
季節は限定されますが、理想的に食することが出来ます。
「フルシーズン食べられるが見かけ倒し」が良いのか?
季節は限定されるが理想的に食べられるのが良いのか?
それぞれ一長一短ありますが、出来れば旬を意識し、楽しみたいものですね。
旬はその地域により当然異なりますが、旬を楽しむことが出来れば、「自然を大切にしなくては」と考えるようになります。