マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
四季が美しい日本には、その時期に相応しい美しい言葉が沢山あります。
特に冬から春に移行するこの時期はより多く存在します。
それだけ、人も、動物も、植物も活発に活動を始めると言うことでしょうか・・。
中でも「春暖の候は」はなじみが深いですから、その使い方と時期について触れておきます。
「春暖の候」とは「しゅんだんのこう」と読み、春の暖かさが感じられる頃という意味で使用されます。
花の開花が気候の暖かさを知らせてくれるわけですが、「花冷え」のように、暖かくなったので花が咲いたが、また寒さが逆戻りした状況より、もう冬の寒さが感じなくなったよという時期に使用されます。
「花冷え」は、まだ寒さが残っている頃です。
「春暖の候」は、寒さが去った頃がお勧めですが、天気が相手ですから一概にはいえませんね。
しかし時期的には3月の終わりから4月頃がお勧めです。
勿論地域により異なりますが・・・。
加えて、良く似た表現になりますが「桜花の候」があります。
競馬が好きな人はご存知だと思いますが、「おうかのこう」と読みます。
花と言えば「桜」ですが、春を象徴する花で春を表現するとは、先人の感性は本当に素晴らしいですね。
「次第に暖かくなって桜の花が咲き乱れる頃」とか、「桜が満開になりとても美しく感じられる頃になりました」という意味で使用されたらいいと思います。
「桜前線」という言葉が存在する国に相応しい言葉です。
但し、桜前線も北と南では大きく異なります。
さらに桜の品種にもよります。
時期的には丁度今頃から4月初旬位が良いと思いますが、大切なことは相手の地域にマッチすることです。
ただ、相手の地域に合わせても、5月に入ってから「桜花の頃」もぴんとこないので、そのような場合には他の表現をお勧めします。
四季が明確に分かれている日本では、時候の挨拶がありますが、「候」は季節の移り変わりの中で変化していく天候です。
「春暖の候」にせよ「桜花の候」にせよ、比較的改まった相手に出す場合が多いだけに、使い方と、時期を間違えないようにしたいものです。