マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
3月は旧暦で「弥生」と言われ、草木がいよいよ生い茂る時であり、虫達が冬眠から覚め、再び地上に顔を出す時でもあります。
また、あと3週間ほどで春分の日ですが、この日を境に、昼の方が夜より長くなってきます。
厳しい寒い冬から、嬉しい春の始まりです。
海や山や里で芽吹いた春の気を精一杯吸収して、心と身体を目覚めさせ、美しく華やいで下さい。
そして3月と言えば女の子のお祝いである「上巳の節句」、別名「桃の節句」でもあります。
陰陽道では陽の数字である奇数の3が、重なった3月3日です。
新暦の3月にはまだ桃の花は咲きませんが、旧暦3月は桃の花がほころぶ頃ですから「桃の節句」とも言われます。
そして桃の節句は中国の「桃源郷」から来ています。
ちなみに桃源郷と言えば「ユートピア」や「楽園」をイメージする人が多いと思いますが、実は正反対です。
中国には伝説や不思議な話しをまとめた本が多いようですが、そういった類のものだと思って頂ければ良いと思います。
「漁師が道に迷い、やがてたどり着いた集落で思わぬ歓待を受けました。それから家に帰ったあとで、その身に余るおもてなしが忘れられず、もう一度そこを尋ねましたが、同じ所にたどり着くことはできませんでした」というお話しに基づいています。
ユートピアや楽園は人が一生懸命努力して築きあげたものですが、桃源郷は実現をあきらめる、つまり俗世界を離れた仙境のようなものですね。
ちなみに、古くから桃は生命の象徴とされ、仙人になるために霊力の在る桃の実を食べると言う言い伝えがあります。
さらに、雛飾りに桃の花を飾るのは、「桃は一つの枝に多くの花を咲かせるから子宝に恵まれるため」とも言われています。
しかし、今の日本では、子宝に恵まれるには先ずは結婚ですが、ある調査によると18歳から34歳までの女性の約5割が「彼氏」がいないようですね。
年々雛人形は豪華になっているようですが、幸せ婚もそれに比例して増えればいいですね。