マナーうんちく話535≪五風十雨≫
日本は物質的な豊かさと平和と四季の美しさ等を謳歌していますが、世界全体からみれば「幸福度」は決して高いとは言えません。
世界に自慢することも多いですが、矛盾も多いようです。
核家族化や絆の希薄化もそうですね。
先進国としては非常に恥ずかしい現象ですが、「無縁社会」や「孤独死」などの言葉が留まるところを知りません。
だから、正月に家族一同が揃うことにより、絆の再確認が出来ると共に、感謝の心が育むことが大切なわけです。
最近では、正月に里帰りした子ども夫婦が、実家ではなく最寄りのホテルに泊まるケースが多いようですが、果たしてこれでいいのでしょうか?
お互いに煩わしさが省けるという理屈は理解できますが、絆と言うものは、煩わしさや、手間暇をかけることで育まれるものだと考えます。
家族一同が一堂に会し、寝食を共にして絆を強めるところに正月の意義があると思います。
正月の意義はそれだけではありません。
歳神様と共に家族揃って新しい年を祝うことにより、一日の始めを大切にし、一月を大切にし、一年を大切にするようになり、ひいては人生そのものを大切にします。
まさに「一年の計は元旦にあり」で「初心忘るべからず」です。
ちなみに「明けましておめでとう」と言う言葉は、歳神様を迎えるための喜びの言葉であり、新しい生命力が芽吹いたことへの感謝の気持を、互いに確認しあうための呼びかけの言葉で、絆作りに大変役に立っています。
また正月は1月の別名ですが「睦月」とも呼ばれます。
身分の高い低いは関係なく、老若男女が互いに行き来して仲睦ましく暮らすと言う意味で、和の精神と共に世界の平和に貢献できます。
正月に含まれる、このような豊かな精神文化が、和食がユネスコの無形文化遺産に登録された大きな要因にもなったのではないでしょうか。
最近国際化の名のもと、キリスト教式の挙式やクリスマスやハロウィンやバレンタインデーのイベントが年々派手になり、それにつれ神様・仏様の存在が遠のき、秩序や感謝の心が希薄になった気がしてなりません。
国際化が進展するということは、不必要に西洋かぶれすることではなく、世界に誇る自国の文化に精通し、自分も輝き、次世代に正しく伝えることと、それを世界に向けて発信することです。
正月を単なる冬の長期休暇と捉えるのではなく、先祖を敬い、もてなす気持ちが凝縮されている大切な行事と認識すると共に、今までを振り返り、未来を展望するのもお勧めです。
次回から、神道、神社、歳神様について詳しく触れて参ります。