まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
四季が明確に分かれて、国土の約7割を山林で覆われている日本の人々は、昔から自然に寄り添い、自然と仲良く暮らしてきました。
そのせいでしょうか、季節毎に山の表情を人に例えて美しく表現しています。
山の木々の葉が散ってしまい、まるで山全体が眠っているようになる今頃は「山眠る頃」と言います。
そんな中、芽吹きを始める木もあります。
周囲の木が枯れている状況の中で、芽吹くことを「冬萌え」と言いますが、その様子は、冬至を起点にエネルギーをパワーアップさせる太陽と同じですね。
ちまたではクリスマスイベントがたけなわで、一年で最も活気づく頃ですが、実は、クリスマスも太陽が復活するのをお祝いする行事が起源だと言われています。
キリストの誕生と太陽の復活を結びつけたのでしょうか?
そういえば、日本の「お雛様」や「七夕」や「お中元」などは、古い風習と新しい風習がコラボレーションして、さらに新しい風習となって現在に至っています。この現象は、古今東西同じようです。
ところで、前回「冬至」と「一陽来複」のお話をしましたが、西洋人も同じような事を述べています。
イギリスの詩人シェリーは「西風に寄せる歌」で「If winter comes、can spring be far behind?」と述べています。
「冬来たりなば 春遠からじ」といわれますが、厳しい冬になったということは、やがて温かい春になるよ!と言う意味で、たとえ今は良くなくても、辛抱強く耐えていたら、いずれよくなる、という意味で使用されます。
日本でも、世界中でも、太陽のエネルギーが一番弱くなる日、あるいは寒さが最も厳しくなる日は、「どん底の日」と捉え、とても大切な節目になっているようですね。
例えば日本の立春は一年で最も寒い日で、この日が旧暦では正月、つまり一年のスタートになっています。
ちなみに、八十八夜も二百十日も立春から数えます。
そして太陽の力が一番弱く、夜が長くて昼が短い冬至はクリスマスの起源だと言われています。
だから、クリスマスツリーに使用するもみの木は「希望の象徴」とされているのでしょうか・・・。
昼が短く暗い夜が一番長いどん底の日を乗り切ったら、皆でそれをお祝いする様々なお祭りが開かれます。
その中の一つとキリスト教が結びつき、現在のクリスマスになったということでしょうね。
日本のクリスマスは、宗教色のない外国のお祭りとして受け入れられていますが、冬至の祭りとしては日本も外国も理屈は同じだということです。
正月に神様が里帰りする際その依り代になる「松」も、クリスマスツリーに使用される「もみの木」も同じ常緑樹です。
さらに「柊」は日本でも西洋でも魔よけの木です。
似たような点が多いですね。