マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
幼い頃、祖父母から、お月様には兎が澄んでいて、満月の夜には餅搗きをするのだよ!と教えてもらったからでしょうか・・・。
十五夜を眺めていると、不思議にキネをもったウサギが登場するような気がしませんか。
しかし「所変われば品変わる」です。
お月様の模様は世界中同じでしょうが、その模様の捉え方はお国柄により様々で、とてもユニークです。
日本ではウサギがキネで餅を搗く姿に見られますが、ヨーロッパでは「本を読む老婦人」や「蟹のはさみ」に見られているようです。
また、ウサギではなく「ライオン」と見ている国もあるようです。
ではなぜ日本ではウサギに見られているのでしょうか?
その由来となる物語があります。
昔、昔、ある所に、猿と狐と兎が住んでいました。
そこに、疲れ切った老人がやって来て、食べ物を所望しました。
狐と猿は持ち前の技量で食べ物を持ってきましたが、兎はできませんでした。
そこで兎はまさかの行動に打って出ました。
火の中に自分の身を投じて、老人に自分の身を捧げたのです。
みすぼらしく見えた老人は、実は帝釈天だったわけです。
帝釈天(たいしゃくてん)はインドの神話では大変重要な神様で、仏教の守護神で有り「天帝」とも呼ばれています。
この帝釈天が三匹の動物の行動を観察するために、みすぼらしい老人に身を変えて試したわけです。そして兎の慈悲深い捨て身の行動を、広く後世に伝えるために、兎を月に登らせたと言われています。
それが仏教神話として日本に伝えられ、現在に至ります。
物の豊かさより心の豊かさが求められる今、人の役に立つことで大きな幸せを感じられますが、狐も兎も同じなのですね。
ちなみに、一生懸命努力して、みすぼらしい老人のために食べ物をとってきた猿と狐は、ご褒美として、望み通り、今度生まれて来る時は人間として生まれるようにして頂いたそうです。
改めて、数多い生物の中で人間に生まれた事、食べ物に恵まれていることに感謝したいものです。
また、兎が餅月をするのは、収穫に感謝しているからとか、生涯食べ物に困らないようにとの説もありますが、いかにも日本的な捉え方だと思います。
このように先人は、食べると言うことをとても大切にしたわけですね。
だから、和食のマナーは「感謝の心」と「同席した人への配慮」を大切にするわけです。
そして9月28日(月)はスーパームーン(supermoon)です。
月が地球に最も近づいた時の満月や新月の形のことで、普通の満月よりとても明るく、大きく見えます。
9月27日(日)の仲秋の満月に引き続き、美しいお月さまが楽しめるわけですが、最も近づく時間は27日の午前11時50分の予定ですから、この時間帯でお月さまを観賞することは無理です。
従って、日没からお楽しみください。
午後6時30分頃から7時30分頃がお勧めです。
スーパームーンは天体用語ではなく、星占術に由来しているそうですから、願い事をすると何かいいことがありそうですね・・・。
加えて、10月25日(日)の「十三夜」もお忘れなく・・・。