まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
朝夕がすっかり心地良くなり、秋の趣が感じられるようになりました。
9月8日は二十四節季の一つで「白露」です。
では、白露と聞いて、何を思い浮かべますか?
「白露(はくろ)」とは、露が玉のように白く輝いて見える様子のことです。
秋になると、夜の気温が低下し、日中の水蒸気が凝結しやすくなるので、露が出来安くなります。
だから「露」という漢字がつくことにより、ようやく残暑が収まり、秋が訪れる実感が湧きます。
その露が草花に降り、寒さで白く見える頃ですから、お目覚めの時にでも、是非観察してみて下さい。
気分の問題もあると思いますが、心地良く目覚めた時には、意外に、朝の光に照らされた露が、宝石のようにキラキラ輝いているように見えます。
そんな日は、何かいいことがありそうですね。
しかし、露はそんなに長時間持ちません。
以前、「蝉と蛍は儚さの象徴」と言いましたが、露もまた儚いものです。
だから、余計に美しいわけです。
ある時は宝石に、またある時は涙に、そして儚い物の象徴になったり・・・。
日本人の感性は実に豊かです。
ところで、これから、いよいよ秋になるのに、「白」の漢字がつくのは、ミスマッチだと思っている人もいると思います。
日本の四季では、白は雪をイメージするので冬と捉えられがちですが、実は古代中国では春が青、夏は赤(朱)、冬は黒で、秋は白で表現されていました。
青い春、つまり「青春」の言葉はその名残です。
また、詩人であり歌人であり童謡作家でもある北原白秋の名前もそうですね。
そして「白露」は9月8日から9月23日の「秋分の日」の前日までですが、この頃になると、野では芒が黄金色に輝き、小学校では運動会が催される頃で、暑さの感じ方が、今までよりかなり変化してきます。
さらに、大気が不安定になり、雨が降る日が多くなり、「秋雨前線」とか「秋の長雨」に見舞われるようになります。
この日から、仲秋になり、お月様がとても美しく見えます。
機会が有れば、夜空を見てみるのもお勧めです。
日本には二十四節季や七十二候など、季節の言葉が沢山あります。
四季の美しさと、先人の豊かな感性により作られた言葉で宝物です。
日頃、聞き慣れない言葉もありますが、それぞれには素晴らしい意味が込められており、このような季節の言葉に関心を持つことで、自然を理解することが出来、自然に親しみが湧き、自然を大切にする気持ちが湧いてきます。
加えて、「自然に優しく」ではなく、「自然に優しくして頂いている」という謙虚な気持ちも大切だと思うわけです。