マナーうんちく話1028《日本人と物さびた可憐な「秋の七草」②》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

【尾花】
動物の尾に似ているから尾花になりましたが芒(ススキ)のことです。
芒と言えば秋の月がお似合いですが、イネ科の植物ですから、お月見に芒を供えるのは、米に見立てていると言う説があります。

昔から、日本全国、各地で自生しており、家畜のえさに使用される等、昔から日本人になじみが深い多年草です。

別名「茅(かや)」とも呼ばれ、茅葺の屋根の材料になりましたが、最近はあまり見られなくなりました。

【葛】
非常に繁殖力が強く、他の樹木に蔓がまきついている姿をよく見かけます。地下部の葛の澱粉(でんぷん)は「葛湯」で親しまれています。

【撫子】
控えめで清楚で品の良い女性を「大和撫子」と表現しますが、秋風に揺られている姿はなんといえない趣があります。撫でて愛でるほど可愛い子の意味です。

「川原撫子」「美女撫子」「大和撫子」等の種類があります。

【女郎花】
遠くから眺めるととても清楚で美しいですが、鼻のいい人は近づかない方が良いかも。見た目と裏腹に臭いがよろしく有りません。

【藤袴】
もともと薬用として日本に伝わり、かつては日本の各地域で見かけることが出来ましたが、今では絶滅危惧種になりました。

生のままだとあまりにおいませんが、乾燥させるとほのかな香りが立ち込めてきますので、昔の女性は乾燥させた藤袴を服にしのばせていたとか・・・。

【朝貌】
秋の七草の最後に詠まれた「朝貌」は、「朝顔」ではありません。「桔梗」の説が有力で、気品に満ちた古典的な風情は今なお、多くの人を魅了しています。

ところで、「春分の日」「秋分の日」は有りますが、「冬分の日」「夏分の日」は有りません。

「春の七草」と「秋の七草」はありますが、「冬の七草」と「夏の七草」はありません。

厳しい寒さや、暑さが終わり、心地良い春や秋になるから、このような言葉が生まれたのでしょうか?
大変趣のある言葉です。

特に秋の七草はどちらかと言えば控えめな感じがします。
だから、「謙虚さ」「わび」「寂」を好んだ日本人の感性に受けたのでしょう。

そして秋の七草は、一斉にぱっと咲いて、パッと散るモノではありません。

先ず萩、桔梗、撫子が咲き、やがて芒や女郎花が続き、最後に藤袴が咲いてきます。恐らく今の時期は全ての秋の七草を見かけることが出来ると思いますので、山上憶良が数えているように、指折り数え、七草に親しみ、自然を理解して下さい。

自然を大切にし、自然と仲良くなりたい気分になります。

経済効率のみで原発を稼働させるのが、いかに愚かな行為につながるか、このような感じになるかもしれません。

8月22日は、私が主催している地域創生講座《和気町幸齢者大学第4回講座「生き生きコミュニケーションで絆作り」》が13時から開催されます。

昨日は、近隣の野山に出向き「秋の七草」全て調達してきました。
毎回40人から50人くらいが参加されますが、今日は会場一杯秋の七草でお持て成しです。

地域創生に関心がある方が、目先の自然に親しみを感じて頂ければ嬉しい限りです。地域創生は地域の自然を理解することから始まります。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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