マナーうんちく話92≪優雅さが自慢!和の作法≫
仕事柄多種多様な人と食事を共にする機会が多々ありますが、食べ方が気になることがよくあります。テレビの番組を見ていてもしかりです。
姿勢を正し、正しく箸を持てば、美しい食べ方に直結し、食事の姿が凛と輝き、とても好感が持たれます。
正しい持ち方は、二本の箸のうち、上の箸は人差し指と中指で上下に動かします。そして、下の箸は親指の付け根に固定します。
つまり、二本の箸を動かすのではなく、上の箸を動かし、下は固定します。
これが一番機能的で自然です。
箸使いに自信の無い方は、この点を参考にして下さいね。
些細なことかもしれませんが、箸使いは日本人の生活の基盤であり、日本が世界に誇る器用さや「物作り」も、長い間日本人が二本の箸を使い続けてきたことに由来すると言われています。
特に幼児期の子供には、親が正しく教えて頂きたいと思います。
正しい箸使いは、次のような効能が期待できます。
○手先が器用になる。
○脳の発育を促進する。
○姿勢が良くなる。
○見た目が美しく、好感が持たれる。
以上に加え、人格を形成する意味においても大きな効果が期待できるようです。
正しい箸使いと共に「頂きます」「ご馳走様」の言葉を発することにより、感謝の気持ちが湧き、食べ物を美味しく残さず食べ、好き嫌いもなくなってくる。
加えて性格が明るくなったり、落ち着きが出来、思いやりの心が芽生えたりします。
フォーク・ナイフに比べ、箸は力が無いかもしれませんが、非常に多彩な機能を持っています。
挟む、掴む、切る、裂く、乗せる、包む、押さえる、運ぶ等など・・・。
普段何気なく使っている箸ですが、このような効果があると思えばないがしろにはできません。正しく使用してこそ、このような機能が作用します。
加えて、日本の箸は、ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」を食す道具でもあります。
従って次世代にも正しく伝える役目もあります。
正しい箸使いは勿論、箸に込められた豊かな精神文化の全てです。
大人が見本を示し、日本の伝統を残していきたいものですね。
ちなみに、子どもに箸使いを教えるに当たり、子どもにマッチした箸の長さは大切です。
余り軽過ぎても、重過ぎても感心しません。
程良い長さの箸を与えて下さい。
先ず、親指と人差し指を直角に開いて下さい。
次に、親指と人差し指の先を結んだ長さを図り、それに1.5を掛けて下さい。
その長さが、その人の理想の箸の長さだと言われています。
一般的に成人女性の場合は24㎝が多いようです。
結婚式や正月に欠かせない「祝い箸」の長さは約24センチと決まっています。
理由は末広がりの「八」寸だからです。
一寸は約3㎝ですから24㎝になるわけですね。
正しい箸の持ち方で、正しい箸使いをして頂いたら、さらに大きな効果が加味されます。
「箸置き」を使用して頂き、食べ物を口に入れたら一旦箸を箸置きに置く。
この繰り返しの食べ方をすることにより、咀嚼回数が非常に多くなり素晴らしい効果が期待できます。次回で詳しく触れます。