マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
今年も燕が元気に飛び交い始めました。
冬を東アジアで過ごし、再び長い道のりを超えて我が家にやってきた燕は事の他愛着がわきます。
燕がやってくるとその家は繁盛すると言われますが、喜んでばかりはおられません。ツバメには多くの天敵がいます。カラスや猫、さらにヘビ。
だから燕は、あえて人目につく家の軒下などに巣を作り、子育てをしますが、蛇も良く心得ています。
昨年は、間もなく巣立ちの頃に大きな蛇に呑みこまれました。
巣の下に煙草の吸殻を沢山置いて、蛇を寄せ付けないようにしておいたのですが、効果は有りませんでした。
今年はどのように蛇から守ればいいのか、まだ巣作りを始める前から、あれやこれやと気をもんでいます。
ところで、海を渡って南から燕がやってきたら、海を渡って北へ帰る鳥もいます。雁です。
雁はツバメほど知られていませんが、鳩もより大きく、白鳥より小さくて、昔はなじみの深い鳥だったようです。
4月9日から13日頃は、七十二候では「鴻雁北へかえる(がんきたへかえる)」となっています。
そして雁と言えば「雁風呂」という民話が有名です。
日本では秋になると雁がシベリアの方から渡ってきますが、その際、小枝を口に咥えたり、または足で掴んでやってきます。
なぜだかお解りでしょうか?
何千キロも海の上を飛んでくるわけですが、距離があまりにも長いので、途中で休憩が必要です。
当然海の上での休憩になりますが、その際、その小枝を浮かべて、その上で休憩するわけです。
日本に着いたらその小枝は不要になりますから、一旦陸地に落とします。
そして、春になってシベリアに返る時には、またその小枝を咥えて帰るわけですね。
しかし、春になってもその小枝が有ると言うことは、その雁が日本で亡くなった事を意味します。
それを地元の人があわれんで、その枝を集め、供養のために風呂を沸かして、旅人を持て成したと言うお話です。
雁が小枝を本当に加えて来るか否かは、私には良く解りませんが、あくまで伝説的な民話です。
燕は子どもを産むと、雨の日も風の日も、夫婦で休むことなく懸命に子に餌を与え、自立出来るまで面倒を見ます。
一方雁は夫婦(つがい)になると、生涯浮気をせず、仲良く暮らすそうです。家族や群れともとても仲良くします。
家族、地域、職場の絆が希薄化する中、燕や雁に教えられることは沢山ありますね。
ちなみに、「お持て成し」と言えば、今ではご馳走を振る舞うのが一般的ですが、昔は風呂に入れることが最大のお持て成しだったわけです
日本人の温泉好き、風呂好きは世界的に有名ですが、昔は、先ずはふろを沸かして客人に振舞っていたようです。また、江戸時代になると銭湯が登場し、社交場になっていき、多彩なサービスが提供されるようになっていきます。
混浴だったようですが、当時のマナーは「他社への配慮」が主流です。
見て見ぬふりをしていたとか・・・?