マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
日本は四季が明確に分かれ、その移り変わりが大変美しい国です。
そして、四季それぞれの特徴がよくわかるように一年を24に分類して、その一つずつにその季節を表す美しい名前を付けたのが、このコラムでよく登場する「二十四節季」です。
現代生活になじみの深いものから、少し首をかしげるものまで多彩な名前がありますが、4月5日は「清明(せいめい)」です。
江戸時代の暦の解説書である「暦便覧」によると、全ての物が清々しく、明るく鮮やかに見える頃は清浄明潔だと表現されています。
「清明」とはこれを略したものです。
若葉が萌え、サクラ、ツツジ、ボケ、ユキヤナギ、モクレン、スイセン等の様々な花が咲き誇り、鳥が歌い、命が輝く頃です。
大いなる自然のエネルギーが満ち渡り、いよいよこれからが春本番だと言うことですね。
このように清明の頃は、空気が綺麗で、とても爽やかな季節ですが、喜んでばかりいられません。
PM2,5や花粉症も気になります。
加えて、過ごしやすくなったかと思うと、急に寒さがぶり返すことも多々あります。ストーブもまだ終えません。
とはいえ、美しい花や小鳥の歌や優しい光に誘われ、気分が浮き浮きすることに変わりは有りません。
ちまたでは、入学式や開店祝いなど祝いごとの多い季節でもあります。
さらにこの時期ならではの楽しみもあります。
わらび等の山菜狩りに出かけるのもお勧めですし、ピクニックにも最適の頃です。春ならではの風物詩を存分にお楽しみください。
また、新たに散歩などを始めるのにも適しています。
とにかく、多彩な自然の恵みにありつける絶好の時で、万物が若返る頃でもあります。
日本に中国から暦が入ってくるまでは、自然そのものが暦だったと言われています。
鶯が鳴いたら春、ホトトギスが鳴いたら夏、葉が赤や黄色に色づいたら秋、落ち葉が舞い散り、雪が降れば冬・・・。
そのように自然を感じながら時がゆっくり過ぎていたのではないでしょうか。
しかし、農耕生活が始まると、毎年それなりの目安が必要になってきます。
例えば、畑を耕す時、種をまく時、収穫する時等です。
そこで登場したのが「二十四節季」ですが、先人の生活の知恵が見事に凝縮されています。
当時の人は、現代人が考えているよりはるかに自然と一体となって暮らしていたのですね。
そんな暮らしをイメージしながら「清明」の頃を実感するのもお勧めです。
そして、身も心もリフレッシュして、春の陽光の様に爽やかな気分で、元気でご活躍下さい。