まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
このコラムでも常に取り上げていますが、日本は春夏秋冬の四季だけではなく、一年を24に分けた「気」と言う季節と、72に分けた「候」と呼ばれる季節があります。
一年を周期として繰り広げられる、ある土地での大気の状態の事を「気候」と言いますが、これは二十四節気の「気」と、七十二候の「候」を合わせたモノに他なりません。
旧暦の暮らしは、そのような季節の移ろいを敏感に、かつ正確に感じ取っていたのですね
旧暦ですから、時代錯誤も多々ありますが、何もかも慌ただしく流れて行く今の時代を、如何に心豊かに生きて行くか?
参考になるヒントが多々あると思います。
ところで、二十四節季の始めは「立春」で、終わりは「大寒」です。
その大寒の終わり、つまり七十二候の一番終わりは、1月30日から2月3日頃、つまり立春の前までが、「鶏始めて乳す(にわとりはじめてにゅうす)」です。
鶏が初めて卵をうみ始める頃という意味です。
ちなみに「乳」は「産む」と言う意味もあります。
巷では、「節分の豆まき」や「恵方巻き」、そしてバレンタインのチョコレートが話題になっていますが、旬の話題は「鶏」やその「卵」です。
もっとも、今では鶏は年中卵をうみますが、元々鶏は冬には卵をうまず、日差しが長くなるにつれて卵を産む鳥でした。
そして、悪霊が活動する夜と、人間が活動する昼との境を告げる鳥として、昔から尊ばれてきたわけです。
それと同じように、長く厳しかった冬の終わりと、春の到来を告げる、縁起の良い鳥でもありました。
昔は仏教の影響でしょうか?日本では牛・馬・犬・鶏、そして卵などを食べることが禁止されていました。
しかし、江戸時代には「卵を食べることは殺生ではない」と解釈されるようになり、卵が貴重な食べ物になり、養鶏業が盛んになり、魚や野菜等と同じように、卵売りの行商が江戸の町に、頻繁にやってくるようになるわけです。
なにしろ、当時としては、美味で、食べ易く、栄養満点の食物ですから、色々な人に重宝されたのでしょうね。
《生卵北極ほどな穴を開け》という有名な川柳があります。
北極星ほどの小さな穴を、カンザシなどで穴を開け、直接口を吸いつけて、栄養補給をします。
命を繋いでくれる貴重な卵の生みの親でもあり、夜明けを告げる鳥でもあり、春を知らせる霊長でもある鶏だからこそ、一年の締めくくりになったのが頷けます。
希望に燃えて、前向きに進みたい気分になりますね。