まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
稲作を中心とした農耕文化で栄えた日本は、古くから穀物の収穫を祝う習慣が存在していました。
11月23日は国民の休日の一つである「勤労感謝の日」です。
終戦間もない昭和23年(1948年)に制定され「国民が勤労を尊び、生産を祝い、互いに感謝しあう」ことを趣旨としています。
終戦後に制定されたのでピンときませんが、実はこの祝日の起源は非常に長い歴史を有し、飛鳥時代にまで遡ります。
当時はまさに「生きることは食べること」で、その食べ物の大きなウエイトを占めていたのが米や麦や粟等の穀物で、その穀物の出来・不出来が国家の運営にも大きく響きます。
だから、その年の収穫に対して国を挙げて感謝の意を表したわけで、この国家の重要な行事が「新嘗祭(にいなめさい)」で、勤労感謝の日の起源です。
つまり、「勤労感謝の日」の起源は農作物の恵みに感謝する儀式だったわけですが、近年になると、労働とは農業に従事した生産のみならず、サービス産業など幅広い意味を有するので、「勤労感謝の日」となりました。
ちなみに「新嘗祭」の「新嘗」とは、その年に収穫された新しい穀物の事を言います。
そして、その年に収穫された米は「新米」と表現しますが、かつては新嘗祭が終わるまでは新米を食べないと言う風習もありました。
また、11月1日から1年以上経過指した米は古米(こまい)、二年経過した米は古古米(ここまい)といいます。
初鰹とか新茶のように「初モノ」を好む日本人は、新米を好み、「新米=大変美味しいというメージ」が強いようですが、古米が決してまずいわけではありません。
要は炊き方次第だと思いますし、炊きたてのご飯は古米であれ古古米であれ、美味しいものです。
お茶でも一緒で、「娘18番茶も出花」と言います。
たとえ不細工な女性でも、18歳頃の女ざかりの娘は色気が漂うように、玉露や煎茶に比較すると番外のお茶でも、淹れたてのお茶葉は美味しいと言う意味です。
不必要にブランドや初モノにこだわることなく、食べ物を大切にする心、食材や料理を作ってくれた人への感謝の心、そして食事を楽しく食べる心、食事を丁寧にする心が大切ではないでしょうか。