マナーうんちく話765《七夕伝説、「天の川」と「愛の橋渡し」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

夏の風物詩「七夕」が話題になる頃ですが、7月7日は5節句の一つ「七夕」。
多種多様な年中行事の中でも、知らない人はいないほど有名ですが、これは日本古来の信仰と中国から伝来した伝説や風習が複雑に絡み合っています。

昔は女性のたしなみとして裁縫が出来ることが必要でしたが、裁縫や芸事や詩歌の上達を願う行事と、織姫と彦星が年に一度天の川を渡って出会う物語は特に有名ですね。

今では、願い事を書いた色とりどりの短冊を笹に飾りますが、これは江戸時代から始まったと言われる日本ならではの行事です。

なぜ笹の葉に飾るのか?といえば、笹の葉はまっすぐに伸び、成長力が非常に旺盛だから、不思議な力があると信じられていたからです。

では、織姫と彦星はなぜ一年に一度しか会えないのでしょうか?
もともと、織姫と彦星は大変働き者でした。
だから、織姫のお父さんである天帝、つまり宇宙を支配する神様の計らいで二人は結婚しました。

そして、二人はラブラブの新婚生活を送るわけですが、ここまでは目出度し目出度しです。

しかし、二人は甘い生活に浸るばかりで、働くことを忘れてしまい、それに怒った天帝は、ついに二人を引き離してしまいました。

引き離したものの、これっきり二人は全然会えないとなれば、余りにもかわいそうだから、年に一度だけ天の川を挟んで逢瀬を楽しむことを許しました。

ちなみに、逢瀬とは今では耳にしたり口にしたりすることは無くなりましたが、愛し合う二人が人目を偲んで会うことで、それが7月7日ということです。

ここで心配な事が一つあります。
天の川を挟んで合うわけですから、7月7日に大雨が降ればどうなるのでしょうか?

7月7日に降る雨は「催涙雨(サイルイウ)」と言われ、色々な説があります。
○雨が降って二人が会えなくなるので、悲しみの涙を流すから。

○一年に一度逢瀬を楽しめるので、うれし涙を流すから。

○一年に一度逢瀬を楽しんだ後、別れがつらくなって悲しみの涙を流すから。

昔の人は感性が豊かですから、色々な事を想像したのでしょうね。
何しろ一年に一度しか会えないので、全ての説に信ぴょう性があり、頷けます。

さらに、こんな説も有ります。
雨が降って川が渡れなくなれば、どこからともなく「カササギ」がやって来て、川の上でそれぞれ羽を広げて橋を作り、二人はその橋を渡って逢瀬を楽しむことが出来るということです。

つまり、カササギは男女の契りの橋渡しの役目を背負っているわけですね。
私も、長年ホテルでブライダルの仕事に携わっていましたので、その経験や知識と活かし、婚活直前セミナーや手作りのお見合いのプロデュースをしておりますが、これが功を奏した時は本当にうれしい限りです。

一年にたった一度でもいいから、心底会いたいと思う人がいればいいですね。
でも、七夕の短冊に書く願い事は重複しますが、「恋人ができますように」「宝くじが当たりますように」等ではなく、「芸事・書道・習い事等が上達しますように」の内容になります。

7月6日の夕方に、短冊に願い事を書き、笹の葉につるし、軒下に飾り、7日の夜に取りこんで、川や海に流すことを「七夕流し」「七夕送り」と言います。

川や海に流せば、天の川に通じ、願い事が叶うとされていたわけですね。
しかし、現在では環境保護の立場上それはできません。寂しいですね。

空から降ってくるような星を満天の星と言います。
また、夜空を横切るように存在する雲状の帯が「天の川」と言われ、ギリシャ神話では、乳とみなしています。
七夕の日は、恋や仕事や環境保全を再認識する日かもしれませんね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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