マナーうんちく話736《日本人とお茶と「おもてなし」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:人間関係を良好にするマナー

講演であちらこちらに行く機会が多々ありますが、その際、茶菓の接待をよく受けます。

和室に通されて日本茶に和菓子、あるいは応接室に案内されてコーヒーや紅茶を頂く等、様々ですが、部屋の清掃が行き届いていたり、出された飲み物がおいしかったら、その組織全体の暖かい気持ちをくみ取ることが出来る気がします。特に美味しい日本茶を頂いた時は格別です。

「日常茶飯事」と言う言葉があります。
「いつもの風景」や「いつもの事」の意味で、お茶を飲んだり、食事をするようなありふれた行為や出来事で、なんら奇異でないことです。

日本人は、昔から食事をしたり、休憩したり、あるいは客人をもてなす時にはお茶を用意したわけです。

そして、お茶を介して独自の「もてなしの文化」を育んできましたが、その遺伝子が意外にも、ペットボトルのお茶が全盛になった今でも生きています。
やはり日本人なのですね。

例えば、和風レストランやうどん屋や寿司屋、あるいはバイキングスタイルの店ではお茶を出してくれます。

ビールやジュースをオーダーすると当然料金が加算されますが、日本茶は何杯飲んでも料金がかかりません。

これは他国では見られない、日本人独特の、客に対する、暖かいおもてなしの表れではないでしょうか?
店側が、いかにお客様を大切にしたかですね。

昨年、東京オリンピック招致委員会のプレゼンテーションで、「おもてなし」の言葉が大きな話題を呼んだことは記憶に新しいことです。

そして、外国から日本にやってくる外国人をおもてなしするために、英語教育が盛んですが、その前にやるべき事があります。

本当に外国人が学びたいのは、日本独特のおもてなしの心で有り、英語そのものではありません。

先ずは、日本人が美味しいお茶を入れて、来客の喉を潤すと共に、心と心の交流を図るスキルを身に付けるべきだと思います。

そのためには、家庭や職場で、来客をもてなす実践のスキルを磨くことが大切だと考えます。

日本茶の歴史や健康効果等の知識、美味しいお茶を入れ方、加えて、もてなしの仕方・され方のマナーを身に付け、それを外国人に実践する手段として英語が出来ればいいですね。

世界広し!と言え、お茶を飲まない国や民族は無いと思います。
茶の種類や飲み方や伝統は違っても、「ふれあいの心」は同じだと思います。

中でも、日本が誇る茶文化の根源を成すものは「おもてなしの心」です。
昔より、人と人とがふれあい、その媒介としてお茶が存在したわけで、だからこそ文化として栄えたのではないでしょうか。

物質的豊かさや利便性に重きが置かれる中、ペットボトルのお茶の存在意義は大きいのでしょうが、こんな時代だからこそ、本物の持つお茶の豊かさを再度認識して頂きたいものです。

お湯を沸かし、急須に茶葉を入れ、そこから注がれる緑茶の香りや美味しさは、ペットボトルでは味わえない魅力が多々あります。

そして、そんなお茶を味わうひとときを、誰かと共に味わうことは、最高に贅沢な時間です。心を込めて、丁寧に入れたお茶を客人に出す心が、相手に伝わるような、温かい触れ合いを、家庭でも職場でも大切にしたいですね。

そうすることによって、互いに心が打ち解け、会話が弾み、やがて信頼関係へとなびいていくものです。

新茶の美味しい時期です。是非お試しください。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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