マナーうんちく話673《「立春」と「慶事用熨斗袋」≫
○「結婚記念日」
もともと日本では「家」を大切にしてきたので、夫婦の結婚を祝う習慣はありませんでした。従って結婚記念日は明治維新以後に欧米からもたらされた習慣で、夫婦が結婚した日を祝う日です。
本来は夫から妻へ贈り物をする習慣があったようですが、今ではプレゼントの交換をするケースが多いようです。
ただ、結婚1年目の紙婚式は、両親や仲人、お世話になった人達に結婚1年目の報告をすることをお勧めします。
「私たちは、お陰さまで結婚1年目を迎えることができました」と、手紙や言葉で感謝の気持ちが表明できたらいいですね。
また、結婚当初は二人で祝えばいいですが、銀婚式や金婚式ともなると、子どもが両親へプレゼントを贈ったり、お祝いの宴を開き盛大に祝います。
この際のお返しは基本的には不要ですが、知人友人が食事会等を主催してくれたら、「お福分け」ということで引き出物をされたらいいでしょう。金額は頂いた半額程度が一応の目安になります。
紅白の蝶結びで熨斗つき、「銀婚式記念」等と夫婦連名で表書きします。
さらに欧米では、結婚年数に応じで呼び方が決まっています。またそれに応じてお祝いの品物も決まっているようです。
結婚一年目の「紙婚式」、2年目の「藁婚式(わらこんしき)」、5年目の「木婚式」、10年目の「錫婚式(すずこんしき)」、15年目の「銅婚式」、20年目の「陶磁器婚式」、25年目の「銀婚式」、30年目の「真珠婚式」、35年目の「さんご婚式」、40年目の「エメラルド婚式」、45年目の「ルビー婚式」、「50年目の「金婚式」、イギリス60年目でアメリカは75年目の「ダイヤモンド婚式」等があります。
日本は世界一の長寿国ですから、金婚式はもはや珍しく無くなりました。目指すはダイヤモンド婚式で、夫婦が苦楽を共にした長い道のりを振り返り、これからも仲良く元気でやっていこうよ!と言う意義深い儀式です。
少子高齢化が進展し、絆が大切にされる中、大切にしたい記念日ですね。
○「長寿の祝い」
昨年はホテルや百貨店の料理の偽装表示が相次ぎ、そのやり玉に挙がったのが海老ですが、元々日本では「腰が曲がるまで長寿でいたい」という願いを込めて、海老を重宝しました。
そして、今ではその願いが叶い、世界一の長寿国になり、長寿に関する祝いは年々増加傾向にあります。
長生きを祝うと共に、その長寿にあやかると言う意味を込めて、長寿の祝いを「賀寿」と言い、「元服」や「婚礼」と共に3大祝儀として定着しました。
ここ半世紀で日本人の平均寿命が大幅に伸びたこともあり、最近では古希から祝うのが一般的ですが、本人の希望を聞いて下さいね。
なお、お祝いは誕生日前後がお勧めで、本来は数えで祝いますが、最近では満年齢でも祝います。
詳しくはマナーうんちく話173《満年齢と数え年》、593《敬老の意味と長寿の祝い》を参考にして下さい。
子どもが祝う場合は2万円から3万円、身うちが祝う場合は1万円が目安です。
ちなみに長寿の祝い(賀寿)は何度あっても嬉しい祝いですから、紅白の蝶結びで、熨斗つきで「寿」と表書きをされたらいいでしょう。
お返しは頂いた金額の半分から3分の1が目安です。
長寿の祝いの名称と由来は下記の通りです。
60歳の「還暦(かんれき)」⇒60年で干支を一回りして産まれた年に戻ります。70歳の「古希(こき)」⇒杜甫の「人生七十古来希」にちなんでいます。
77歳の「喜寿」⇒慶ぶと言う漢字を崩して書くと七十七と読めるから。
80歳の「傘寿(さんじゅ)」⇒傘の崩した字が80と読めるから。
88歳の「米寿」⇒八十八は米になるから。
90歳の「卒寿」⇒卒の崩した字が90と読めるから。
99歳の「白寿」⇒百から一を引くと「白」になります。あと一年長生きして100歳、つまり「百寿」までガンバロウとの願いが込められています。
ちなみに現在では100歳以上の人は全国に五万人以上います。
家族間、地域間の絆を深め、盛大に祝いたいものですね。