マナーうんちく話653≪麦は踏まれて逞しく育つ≫

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

日本には春夏秋冬の四季の他に、一年を24に分けた「二十四節季」と、72に分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」が有りますが、丁度今頃は「雪下出麦(せっか麦をいだす)」頃です。

つまり、麦が芽を出す季節です。
麦と言えばパンやうどんを思い浮かべる人も多いと思いますが、昔から米と共に大変貴重な食べ物で、その成長いかんでは生死が分かれる位です。

ところで、今年も3が日を過ぎたところで、「今年はこんな年にしたい」と色々と決意を新たにすると共に、計画を立てられている人も多いと思いますが、如何でしょうか。

一日の計は朝に有り。
一年の計は元旦にあり。と言います。

ちなみに「元日」とは1年の初め、すなわち1月1日で、「元旦」とは元日の朝を意味します。ただ最近では同じ意味で使用されているケースもあります。
さらに、正月は、本来は1月の別称ですが、「3ガ日」や「松の内」を示す事もありますね。

さて、「一年の計は元旦にあり」の意味ですが、大きく分けて二つの意味があると思います。

すなわち、「何事も最初が肝心だから気を引き締めて行こう」と言う意味と、「一年のスタートに当たり、これからどのように過ごしていくか、キチンと計画を立てよう」と言う意味がありますが、皆さんはどのタイプでしょうか?

また、「一日の計は朝に有り」、「一年の計は元旦にあり」の次に「十年の計は樹を植えるにあり。」、加えて「百年の計は人を育てるにあり。」と続きます。

子育て・孫育てや、部下や後輩を育てる立場にある人も多いと思います。
大切な事は、どのように育てるか、明確な姿を描き、計画性の有る育て方が大切だと考えます。

再び麦の話に返りますが、私も幼い頃に何度か麦踏みをした経験があります。
なぜ、麦を踏むかと言えば、麦は踏まれて丈夫に育つからです。

従って麦を育てるには、生育過程で何度か麦踏みを行うことが大切な作業になるわけです。

つまり、秋に種を蒔き、冬に目を出したところで、何度か踏みつけて逞しく成長させて、田植え前頃に収穫するわけです。

人に踏まれて、折れ曲がってしまった麦が、また持ち前の根性で立ち上がり、前よりも強く丈夫になった姿は、人の成長にも例えることができます。

強く逞しく人を育てるには、それなりの試練を経験させてあげることも大切ですね。

特に「鉄は暑いうちに打て」といわれるように、早い時期に色々と経験を積むことは非常に大切だと考えます。
「可愛い子には旅をさせよ」とも言いますね。

但し、何ら説明なしに急に理不尽とも思える事を経験させれば、くじけてしまって、元も子もなくなるので、「なぜそうするのか?」、理由をキチンと説明して下さいね。

新しい年を迎えるに当たり「明けましておめでとう」の挨拶を交わしますが、「おめでとう」の本来の意味は、「新しい命の誕生と息吹を祝う言葉」で、漢字では「お芽出度う」になります。

麦にしても、春に華々しく咲く桜にしても、厳寒に耐えてこそ芽吹くわけです。

さて、3が日も終わったところで、今年はどんな年にするのか?またそれを達成するにはどうすればいいのか?自分なりに計画を立てることもお勧めです。

そしてそれを成就するには、それなりの苦労にも耐える気構えと共に、良き伴侶になってくれる素敵なマナーを身につけられるのもお勧めです。
「健康」と「マナー」は、自分自身に贈る最高のプレゼントなのです。


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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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