まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
5月5日は「こどもの日」で、楽しい計画を立てている家庭も多いと思います。
ところで「こどもの日」といえば、鯉のぼり、柏餅、ちまき、兜に5月人形ですが、意外にその由来については知られておりません。
そこで、「こどもの日」を控えて、こどもの日には「何故、鯉のぼりが空を泳ぐの?」、「何故、ちまきや柏餅を食べるの?」、「ちまきと柏餅はどう違うの?」、「外国でも子どもの日は有るの?」等などについて触れて参ります。
子どもに、ご馳走をふるまったり、プレゼントを贈ったり、遊園地に連れて行くのも良いですが、先人たちの、子どもに対する思いをキチンと伝えるのも、お勧めです。
それでは早速、カレンダーで確認してみて下さい。
5月5日は「子どもの日」ではなく「こどもの日」になっているのにお気づきでしょうか?
5月の「母の日」も、6月の「父の日」も、「漢字表記」になっていますが、「こどもの日」だけは、「子ども」ではなく「こども」とひらかなになっています。
理由は3つあります。
①本来こどもの日は、このコラムでも何度も取り上げた「五節句」の一つである「端午の節句」のことです。これが1948年(昭和23年)に祝日法で、「こどもの日」として祝日になったわけですが、当時は、「こども」はひらがなで表記されていたので「こどもの日」となったわけです。
②「こども」の「ども」は「子」の複数形になるから。
今では「子供」という表記はあまりされず「子ども」と書きますが、「こども」と書くと、一人一人の子ではなく、まだ成長段階にある幼いこの総称になるから。
③「漢字」を使用するより「ひらがな」の方が、子どもに読みやすいから。
1945年に第2次世界大戦が終わり、それから3年が経過したところで「こどもの日」が制定されたわけですが、その理念は「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるととともに、母に感謝する」と有ります。
ところで、現在の日本の平均寿命は男性80歳、女性86歳ですが、終戦直後の子どもの日が制定された頃の平均寿命は何歳かご存知でしょうか?
1947年は男性50歳、女性54歳です。これは戦争のせいで低くなっていますが、1950年でも男性60歳、女性63歳でしかありません。
戦後間もない頃の日本人の平均寿命は、先進国の中でも最下位クラスで、当然厳しい生活を余儀なくされていたわけです。
こどもの日が制定された1948年は、戦争の影響で成長段階の子は少なかった時代ですが、産声を上げた子どもは、「戦後の第一次ベビーブーム」といわれたように、非常に多かったと言えます。
戦争が終わったら、荒廃した国を立て直す必要が有るわけですが、日本の明るい未来を描くために、子どもにかける期待は大きかったのでしょうね。
そして、その子どもたちが一生懸命頑張って、経済を豊かにし、医療制度を充実させるとともに、医療技術を進歩させ、終戦から半世紀を経過しないで、世界一長寿の国に変貌させたわけです。
加えて、平和憲法を定め、物質的豊かさや教育レベルも高め、今の日本の子どもを、世界屈指の恵まれた環境にしたわけですね。
ちなみに、「こどもの日」を世界の視点から見れば、国連の定めた「世界こどもの日」を始め、多くの国で制定されています。
その国々により、子どもの日の日付は違いますが、学校が休校になったり、プレゼントをしたり、イベントを開催したりと、親が子供の権利を尊重し、成長を祝う気持ちは、いつの世も、どこの国でも同じなのですね。
ただ、「こどもの日」に、子どもに色々とプレゼントをするのもよいですが、大人は子どもがより善く成長するために、地球や人に対して、思いやりのある平和な社会を作らなくてはいけませんね。