マナーうんちく話535≪五風十雨≫
百花繚乱のワクワクするような時を与えてくれた春が、刻々と過ぎ去ろうとしています。
「春惜しむ」とか「行く春」といった言葉がお似合いになり、桜前線もすっかり北上しましたが、先人は桜が咲き始めた時、咲いている状態のみならず、散りゆく姿にまで素敵な名前を付けています。
桜の花びらがヒラヒラと舞っている様子が「花吹雪(はなふぶき)」、花弁が水に流れる様子は「花筏(はないかだ)」、そして花がすっかり散って若葉が出てきた様子を「葉桜」と名付けています。
桜の芽がほころんでから咲くまで、さらに、すっかり散ってしまい葉が出るまで丁寧に観察し、キチンと見届け、来年に託したわけですね。
桜の木は神が鎮座されると言いますが、田植えシーズンを迎えるに当たり、山の神をお迎えに行き、桜の木の下で神と供食するユニークな文化を持つ日本ならではの、美しい言葉に心が癒されます。
ところで今年もいよいよ「ゴールデンウイーク」がスタートしましたね。
Golden Week(GW)は、戦後間もない頃の1951年(昭和26年)にできた言葉ですが、まだテレビも普及してなく、自家用車にも縁の無い頃です。
そんな時代ですから、映画館が大流行りで、今のゴールデンウイークの時に上映した映画が、盆や正月より多い集客を記録し、気分を良くした映画会社が「黄金週間」と名付けたわけです。
しかし、この言葉はあまりインパクトが無かったので、当時ラジオの視聴率が最も高かった時間帯、すなわち「ゴールデンタイム」の言葉を真似て「ゴールデンウイーク」としました。
当時は映画を見るか、デパートに行くか、近郊の遊園地に行くか等の、日帰りでの娯楽が主流を占めていましたが、今は、休みもさらに大型化し、娯楽施設も増え、それに娯楽スタイルも多様化したりで、本当に豊かになったものです。
また、ゴールデンウイークは同時に、日頃疎遠になっている人と旧交を温めるたり、家族水入らずの時が過ごせる絶好のチャンスでもあります。
しっかり絆を深めて頂きたいものです。
結婚は「楽しみを倍に、悲しみを二分の一にする」と言われますが、仲の良い友人にも同じことが言えると思います。
仕事から離れ自由な時間が取れる時にこそ、伴侶や子どもや友人に、しっかり耳を傾け、有意義なひと時を過ごされる事をお勧めします。
出来れば、せっかくの機会ですので、大切な人との「楽しい時間」をしっかり共有することをお勧めします。
身近に存在する大切な人を、「欠けがいの無い人」と認識し、大事にして、真摯な態度で接するところに、その人の品格が生まれます。
大切な人につくすことで、本当の意味での生きがいが生じるわけですね。
ビジネスシーンにおける損得勘定を、抜きにした愛情や友情は、人としての証であります。
そして、それを醸し出すのがマナーです。
厳寒に耐え、桜のつぼみがほころび、開花し、散り、葉桜になり、やがて果実をつけるように、私たちの人生にも、常に「愛情」や「友情」と言う実を実らせたいものです。
「夫婦で久しぶりに楽しい一時が持てた」、「子どもの喜ぶ顔がしっかり見えた」、「多くの友人と会うことができた」等と、有意義な思い出が作れるゴールデンウイークになりますように・・・。