マナーうんちく話73≪話好きになる方法とは?≫
今年は暖かくなるのでしょうか?
季節の移り変わりが例年よりかなり早いような気がします。
県北から早くも「水芭蕉」の便りが届きました。
そして、七十二候では、丁度今頃が「桜始めて開く」頃なのですが、今年は多くの地域で、すでに満開になっていますね。
《さまざまの こと思ひ出す 桜かな》
私のような凡人には、ごくありふれた句だと思いますが、これが芭蕉の句となると、にわかに芭蕉のイメージに反応して、名句に思えるから不思議です。
桜は毎年、色々と人の思いを映して咲くのでしょうか?
皆様は、桜にどんな思いが有りますか?
これから桜前線の北上と共に、日本列島は賑やかになりますが、桜の花を囲んで酒を酌み交わし、ご馳走を食べる楽しみは日本人ならではで、今も昔も変わりませんね。
どうか、今年も良い思い出を作って下さい。
ちなみに、桜の開花は、昔の人は七十二候である程度知り得ましたが、現代人は最新の科学で事細かく予報できます。
また、昔の人は豊かな感性で持って桜を愛でましたが、現代人も負けてはいません。「桜前線」と言う非常に美しい言葉を作りました。また、開花の状況を、「ちらほら」「三分咲き」「五分咲き」「満開近し」「見ごろ」「散り始め」等と非常に繊細に分類しています。
加えて、「桜ソング」や「花見ソング」も沢山あります。
春のうららの 隅田川 上り下りの船人が 櫂のしずくも
花と散る ながめを 何にたとうべき
ご存知、滝廉太郎作曲の「花」です。
この時期になると、日本人なら、誰しも頭をよぎる曲ですね。
ところで、皆さんは「渡し船」をご存知でしょうか?
今は交通事情もすっかり改善され、河川には大きな橋がかかっていますが、昔は船で川を渡っていたわけです。
私も幼い頃には渡し船に乗った経験が有ります。
モーターではなく、船頭さんが櫂で漕ぐ船ですから、乗船できる人数も限られている小さな船です。水戸黄門等の時代劇にも、しばし登場していますから、ご存知の方も多いと思います。
この渡し船に、先に乗った人が数人腰かけて、出航するのを待っている所に、後から乗客が来たら、それぞれが、自分のこぶし分だけ詰め寄り、スペースを開けて、後から来た人に譲ってあげる仕草を「こぶし腰浮かせ」と言います
腰の両側に、それぞれこぶしをついて、腰を浮かせて詰め寄ったそうですが、船は、車や電車のように安定していませんので、そんなに杓子定規にはいかないと思いますが、後から来た人に、一同が機転を利かせ、思いやりの精神を発揮するしぐさです。
さしずめ、現代版の電車ですね。
二人掛けもさることながら、六人掛けのシートに五人が程良く乗っていて、そこへ新たに一人の客が乗って来たとします。
この状態では、皆何食わぬ顔をすれば、それで通るかもしれませんが、ここで皆が一様に、思いやりの精神を発揮して、少しずつ詰めれば、後から来た人は、気持ち良く座ることができます。
知らぬ顔をしてそのまま座っているか、少々窮屈になっても譲り合って一人分の空間を作るか、皆様はどちらのタイプでしょうか?
花見シーズンで一番気になるマナーは、「ごみの後かたづけ」と「場所取り」です。
苦労して場所を確保したけど、後から来た人のために少し無理をしてでも、良いスペースを譲り合う。
どんなご馳走より美味しい花見になりそうですね。