まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
「梅一輪 一輪ほどの暖かさ」と読まれた梅。
梅は、花が一輪また一輪咲く度に、春が近づいているような気がするので、「春告草(はるつげぐさ)」と呼ばれています。
桜のように華やかさは無いものの、凛とした漢字が良く似合う花ではないでしょうか。また、それでいて、どこか寂しくて「謙虚」と言う言葉がおピッタリなので、桜と共に日本人に大変愛される花です。
もともと、中国から遣唐使等の留学生が持ち帰り、貴族社会で重宝されていたせいか、万葉集でも「萩の花」に次いで多く読まれています。
従って当時の花見と言えば「桜」ではなく、「梅」であったことが容易に推察できます。そして武士の台頭と共に逆転したようです。
しかし、梅は花が咲いた後に、薬効の有る実をつけるため、実用面でも、重宝されていますね。
特に、梅が健康に良いのは、日本人なら多くの人が認識していることで、今でも旅館や家庭でも、朝食に梅干しが愛用されています。
また、昔から殺菌効果を利用した「日の丸弁当」にも不可欠ですね。
ちなみに、梅の木には鶯がお似合いのようですが、実際に梅の木に鶯が止まっている姿はあまり見かけませんが、皆様は如何でしょうか?
このように昔から梅と日本人は、大変密接な関係にあり、その証拠に梅に関する諺も多々あります。
例えば、「塩梅(あんばい)」と言う言葉はおなじみですが、料理用語のみならず、具合のよい事を「良い塩梅」だともいいます。
また、「松」「竹」と共に、お目出度や縁起物や等級にもしばし使用されます。
松と竹は、冬の寒さにも負けずフルシーズン緑を保ち、梅は他の花に先駆けて厳寒に咲くから、縁起が良いとされています。
ところで、最近夜明けが早くなったと思いませんか?
たまには、朝早めに起き日の出を見て、さらに、夕方の日没をゆっくり眺めることをお勧めします。
梅の開花に春の訪れを感じ、自然の秩序を再認識し、自然と語り合うことで、ストレスを和らげたり、色々な知恵を授かるのも良いものです。
さて、昔から「梅干しと友は古いほど良い」と言われます。
梅干しは長くつけるほど味が良くなります。
そして、友達も古い付き合いほど、気心が知れ、信頼感が増すと言う意味です。
梅干しはさておいて、仲の良い、古い友人はいますか?
異姓にせよ、同姓にせよ、長年付き合っている友人が何人いるかで、その人の評価が決まると言われますが、大いに頷けます。
特に、高齢になるほど、腹を割って、何でも話せる古くからの友人は大切です。
日本は物質的には豊かで、世界屈指の長生の国に成りましたが、無縁社会に成り、高齢者の孤独死が珍しくなくなりました。
特に50歳以上の男性は要注意で、夫婦円満をお勧めします。
また、一人暮らしの人は、遠くの親戚より近くの友人を大切にして下さい。
勿論、若い人もしかりです。
学生なら学生生活を通じ、生涯の友と言える人を作られる事をお勧めします。
サラリーマンなら、ビジネス上の付き合いのみならず、プライベートの友達作りに励んで下さい。
今、お金に関するセミナーが流行しているようですが、「友達づくりの講座」は見かけません。
お金と同様、心豊かな生活を謳歌するには、友達の存在はとても重要であると考えます。特に、互いに長所も短所も知り尽くした、何十年来の友は特に有り難い存在です。
最近は老若男女問わず、友人がいない人が増えています。
梅は「春告げ草」、鶯は「春告げ鳥」、鰊は「春告げ魚」と呼ばれているように、日本には、春を告げてくれるものが沢山ありますが、異常気象のせいで自然のサイクルがおかしくなっているようです。
友達づきあいもしかりです。
便利になったり、コミュニケーションツールは比較にならないほど充実しましたが、心豊かな人間関係作りは下手な人が増え過ぎています。
最近の日本人は、本当に大切な物を沢山失っているように思えてなりません。
梅や鶯が春の到来を告げてくれたら、マナーの大切さを全ての面で再認識する必要が有ると感じます。