マナーうんちく話535≪五風十雨≫
日本は世界屈指の「四季の美しい国」です。
そして、その移り行く季節に応じて、降る雨や雪、吹く風、さらに、月や太陽、山や川の表情などにも、とても美しい名前をつけています。
加えて、季節を必要に応じて12、24、72に分類して、生活の目安にしてきました。
「二十四節季(にじゅうしせっき)」「七十二候(しちじゅうにこう)」等です。
そして、全国津々浦々、多彩な年中行事が各地で執り行われています。
昔の日本人は、思いやりの心と豊かな感性で持って、自然と真摯な態度で接してきたのだと感じます。
しかも、それは人間社会でも発揮され、常に「和」を保ち、世界に誇る「礼儀・作法」も築いてきたわけですね。
しかし、バブル期を境に、年々そのような情緒は薄れ、人の和が希薄になったようです。
経済発展と引き換え、地球全体が温暖化に移行したせいでしょうか、春雨(はるさめ)とか、緑のそよ風のような繊細さはすっかり薄れ、大自然が怒り、今まで経験した事のない、豪雪や豪雨、強風に見舞われることも、珍しくなくなりました。
人間社会しかりです。
先人が何百年、何千年も大切に育んできた「和する心」や「絆」がなくなり、変わって生まれたのが、「個食」「孤独」「孤立」「孤独死」「無縁社会」等の由々しき言葉です。
確かに以前に比較したら、物質的には豊かになり、便利にはなりましたが、それを維持するために、自然に対し多くの負担をかけている気がしてなりません。
原発しかりです。
人間の勝手な都合で、「安全神話」なるモノを作りましたが、もろくも崩れ、その結果、取り返しのできない大惨事を引き起こしています。
また、世界で一番の「飽食の国」「美食の国」になっておきながら、その「食べ方」は決して褒められたものではありません。
多くの矛盾が生まれたことを、「豊かさと引き換えだから仕方ない」とか、「時代の流れ」で済まされる問題ではありません。
お金も仕事も地位も名誉も大切です。
しかし、私たちは自然に見守られて生きているのです。
「自然に優しく」と言われますが、それは人間の自惚れだと思います。
つまり、私たち人間が、自然に生かされているのだと考えます。
自然が、人間に優しくしてくれているのではないでしょうか?
今日2月4日は「立春」です。
「寒い日が続いていますが暦の上では春です」と言う、決まり文句が使われることが多くなる頃です。
そして、一年の「スタートの日」です。
スタートに当たり、再度、先人の思いや、生活の知恵を見直し、自然と真摯に向かい合ってみる必要が有るのではと感じます。
つまり、花の名前を覚えたり、季節の移ろいをより詳しく観察したり、商業主義にとらわれず、年中行事の本来の意味を見直したいものです。
マナーとは「思いやり」と「感謝」と「尊敬」の心を抱き、それを表現することです。
「人」に対しても、「自然」に対しても発揮するものです。
春が産声を上げた今日から、人にも自然にも、マナー美人を心掛けてみませんか?