マナーうんちく話535≪五風十雨≫
今日は、「七草粥」を予定している人も多いと思います。
せり、なずな、ごぎょう、すずな、すずしろ、はこべら、ほとけのざを「春の七草」と言いますが、これをお粥に混ぜて食すのが一般的です。
最近では、スーパーなどでセットになった「春の七草」を簡単に入手できるので、正月のご馳走を食べ過ぎ、弱った胃腸を休めるために、正月が明ける、1月7日に食べる習慣がすっかり定着したようですね。
この時期、店側の売上向上対策が功を奏した結果だと感じますが、そろそろ正月の疲れが出やすいこの時期には、とてもありがたい風習になり、七草粥を食すと、疲れた体が、身も心もリフレッシュ出来そうな気がします。
もし、七草が手に入らなければ、かぶの葉(すずな)や大根の葉(すずしろ)でも充分ですので、お気軽にどうぞ。
ちなみに、七草と言っても何も特別な草ではありません。
昔はどこでも生えていた草で、今でもその気になれば結構手に入ります。
また、元々「七草」といえば、「秋の七草」を指し、春の七草は厳密には「七種」と書いて「ナナクサ」と読むそうです。
そして、「秋の七草」は観賞用で花を見て楽しみ、「春の七草」は食用で食べて楽しむ草です。
ところで、「若草摘み」は歌にも詠まれているように、寒い時期に地中から目を出した若草の芽を食すことで、一年間の無病息災を祈ったのが原点だと言われており、万葉時代から行われていたようです。
当時、若菜を摘むと言うことは、食用の草を食べると言う行為のみならず、もう一つの目的が有ったようですが、想像できますか?
「若菜を摘む」と言う行為が、男女が互いに「素敵な人を摘む」ということに繋がるそうです。
現代の婚活イベントに取り入れてもロマンが有って、良いかもしれませんね。
ところで、このコラムで何度も節句に触れましたが、1月7日は、「五節句」の一つである「人日(じんじつ)の節句」です。
つまり「人の節句」で、昔この日は、刑罰を免除し、人を大切にする日としたわけです。
その他、江戸時代の武士たちは御用初めの日でもありました。
そして、3月の「桃の節句」、5月の「端午の節句」、7月の「七夕」、9月の「菊の節句」と続きます。
五節句は、いわゆる季節の変わり目で、中国から伝わった行事です。
日本では農作業と深い関連がありますが、季節の変わり目に不浄を清める日でもあります。
何かと忙しい日々の暮らしの中で、出来る限り季節の節目を自覚して、少しでも心豊かな一年にしたいものですね。