マナーうんちく話516≪袖触れ合うも多生の縁≫
前回「向う3軒両隣」について触れましたが、皆さんは、向う3軒両隣の家族構成をご存知でしょうか?
では、ご近所づきあいはいい方でしょうか?
加えて、ご近所に、いざという時に頼りになる友人がいますか?
個人情報保護法以来、地域の絆が急激に薄れてきた気がします。
さらに、「自分を保護しなければ」というプライバシー意識が高くなり、不必要に他人との交流をしない人が増加傾向にあるようです。
確かに、無駄な付き合いをしなければ、わずらわしさも有りません。
しかし、心豊かな暮らしは難しいのではないでしょうか?
地域とは、私達が暮らしを営んでいる場所で有り、助け合いや交流の場であると思います。従って、先にお話しした「向う3軒両隣」とか、「お互い様社会」の精神でスムーズに機能するものです。
しかし、今では地域での交流が薄れ、共同社会としての意味合いが無くなって来た感がします。
子どもがいて、地域の学校に通っている家族はそれほどでもないでしょうが、未婚の一人暮らし、独居高齢者等にとっては、自然災害や火災など、何らかのトラブルに巻き込まれた時に、頼りになるセーフティーネットは望み薄です。
昔から、「遠くの親戚(親類)より近くの他人」と言う言葉が有ります。
急に、自分の身の回りで、災害や病気などの不都合が起きた時等には、遠くにいる親族よりは、近くの隣人の方が頼りになると言う意味です。
まして、親族も、子供の頃は親しく付き合いが有ったものの、年を重ねると共に、次第に付き合いが薄れ、冠婚葬祭時だけに、顔を合わす人もいます。
こうなると、なおさら近くの、頼れる友人・知人が大切になってきます。
特に、今や日本は、世界に前例のない超高齢社会です。
4人に1人の割合で存在する、65歳以上の高齢者は、多かれ少なかれ不安や心配ごとを抱えています。
お金の事、健康の事。
そして、近所に頼りになる人がいないことです。
高齢者に関しては、各地域で多彩な支援が行なわれているようですが、その前に、先ず必要な事は、良好な人間関係づくりです。
要は、日頃から、仲良く接する人が近くに何人いるか?です。
超高齢社会の大きな特徴は、独居老人が多くなることです。
一人暮らしの高齢者の場合、特に男性に多いのですが、近所づきあいもなく、近所に親友と呼べる友人もいない、と言う人が非常に多いのが現状です。
これでは寂しい限りで、心配事や不安事もつのるばかりです。
しかし、一人暮らしになったからと言って、急に友人はできません。
若い時から、良好な人間関係作りに励むことがとても大切です。
このコラムでも何度も触れましたが、老若男女とも、先手必勝の、明るくて、前向きの挨拶の実行をお勧めします。
これだけで地域、そして地域の一人ひとりが元気になれます。
さらに欲を言えば、このコラムの《良好な人間関係を築くマナー》を、地域で実行される事をお勧めします。
いくらネットに精通していても、あるいは職場に多くの部下や知人友人がいても、いざという時に頼りになるのは、直ぐ近所にいる人なのです。