マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
相手の気分を損ねることなく、上手に断るテクニックは、ビジネスでもプライベートでもとても大切です。
そして、断る時の適切な表現の仕方は、本当に断りたいのか、本当は受けたいけど事情により受けられない場合では、かなり異なりますが、いずれもキチンと断る理由を述べて、丁寧に断ることが大切です。
しかし、こちらの正直な気持ちを受け入れて頂ければいいのですが、正直な理由を述べて断れば、角が立つことも多々あります。
借金の申し出や、お見合いや、縁談等を断る時は特にそうではないでしょうか?
こんな時には、不本意ながら「ウソも方便」といかざるをえません。
「ウソも方便」とは、物ごとを、角を立てずに上手に運ぶためには、嘘をつく必要もあると言う意味です。
これはマナーの視点では、相手に対する「思いやり」になります。
なぜなら、「相手を傷つけないため」だからです。
借金の依頼を断る時を例にあげます。
お金の貸し借りは、初対面同士ではまずあり得ません。
仲が良いからこそ、恥を偲んでお願いできることです。
その仲の良い人の依頼を断るとしたら、本当につらい面があります。
貸してあげたいのは山々だけど、正直言って、お金が帰って来るか否か不安だ。あるいは、自分は良くても伴侶に反対されることもあります。
そんな時には、「自分も手持ちがない」、「近いうちに大金が必要になる」、「財布はカミサンが握っている」等と言って丁寧に断らなくてはいけません。
そして、「恥を偲んでお願いしてくれたにもかかわらず、役に立てない」ことをキチンと謝ることも必要です。お金の切れ目が縁の切れ目にならないよう日頃からの人間関係が大切です。
また、親しい人からの保証人の依頼等は、伴侶や家族のことを考えると、相手に対する思いやりよりも、自己防衛的な嘘をついて断ることも有ります。
さらに、「お見合い」や「縁談」等を断る時には、かなりの頻度で嘘も方便になるようです。
ただし、このような場合は、ウソも方便でも、はっきり断ることが大切です。
曖昧な態度はお勧めできません。
「この度はとても素敵な方を紹介して頂きありがとうございます。折角ですが、今は仕事に専念したいと思っていますので、ご遠慮します」等と言って断ればいいでしょう。釣書には目を通すのがマナーです。
また、お見合いをして、相手が気に入らなかったら、相手を傷つけないような言葉で、はっきり断って下さい。
断るタイミングは早いほどいいです。
特にお見合いの場合は、当事者同士もさることながら、世話役や家族まで巻き込むことになるので、曖昧な態度はよろしく有りません。
少し考える時間が必要で有れば、何日まで待ってほしい等とキチンと言葉で伝えて下さいね。言葉足らずは誤解を招きかねません。
このように、日常生活において、「ウソも方便」は確かに必要ですが、何でもかんでも嘘で固めればいいモノではありません。
「ウソも方便」が必要な時でも、出来る限りの事実が必要です。
そして、その中の一部が嘘だったと言うのが理想です。
最後になりましたが、「上手な嘘より下手な実意」という言葉があります。
うわべばかりきれいに飾って真心が無いことより、例えそれが不細工であっても真心が有れば尊いという意味です。
どちらがいいのか?
ケースバイケースで難しいところですが、主体的な判断が求められます。
人生経験を積み重ねながら適切な判断力を身に付けて下さい。