マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
人付き合いの基本は「挨拶」ですが、さらに「ヨイショ力」が加味されれば、鬼に金棒です。
ここでの「ヨイショ力」とは、「相手に好感を持たれるような上手い口ぶり」のことです。お世辞・綺麗ごと・おべっか等です。
ところで貴方は、「お世辞」を言われたら、気持ち良くなりますか?
あるいは、気分が悪くなりますか?
大抵の人は、お世辞を言われたら無意識に、言ってくれた人に好感を持ちます。
33年間に及ぶホテルでの接客の仕事を通じ確信しました。
その人・その場に相応しいお世辞が言える「ヨイショ力」は、ビジネスでも恋愛でもとても大事だと思います。
なぜなら、相手のことをよく観察し、理解しないと、TPOに応じたお世辞は言えないからです。
但し、初対面の人でも、会った瞬間に良いところを見つけて、それを口にすることは可能です。例えば「お元気そうですね」「姿勢が良いですね」「笑顔が素敵ですね」「良くお似合いですね」等などです。
これらの言葉を発することは、会った瞬間から、「私はあなたに関心を持っていますよ!」というサインですから、相手もこちらに関心を示してくれます。
だから、表現力や観察力が乏しければ、このヨイショはできません。
また、言われた方も、例えお世辞だと思っても、嬉しそうな表情で「ありがとう」の言葉を返して下さい。
ヨイショをした方も、「相手が喜ぶ姿を見てうれしくなる」し、「相手からは自分の表現力や観察力の良さを認めてもらうことができる」ので嬉しくなります。まさに一石2鳥ですね。
ところで、ヨイショは発揮するタイミングも大切です。
そのためには、相手が何を望んでいるかを察する必要があります。
何を認めてほしいのか、何を褒めて欲しいのか、どのように言って欲しいかを、素早く察して、「相手の立場になって、真摯な態度で、丁寧に言える人」は、かなりのマナー美人です。
加えて、ヨイショは、同じ立場の者同士や、目下から目上に対して発揮するのも勿論お勧めですが、目上の人が目下の人に発すれば、さらに大きな効果が期待できます。
職場で、平社員が主任から言われるより社長から言われる方が、大きな効果が出ると言うことです。
学校で、生徒が担任の教師から言われるより、校長から言われた方が良く効くと言うことです。また、その一言が今後の人生に多大な影響を与えることになるかもしれません。
しかし、ヨイショ力の効能は理解したが、お世辞を言うのが苦手な人も多いと思います。そんな人はまず、伴侶や仲の良い友人など、身近な人から発揮してみてください。
間髪いれず、明るい笑顔を添えて、相手が喜ぶ言葉を発することがポイントです。相手のためでもあり、自分のためでもある!という認識が大切ですよ。
最近、マナーに加え、地域や行政から、高齢者の「生きがい創り」に関する講演依頼を沢山いただいておりますが、高齢者の生きがいづくりのポイントは、健康やお金に加え、「どこで・誰と・どのような」生活を送るかです。
そしてその大前提になるのはやはり「人間関係」です。
介護を受ける時も最終的には人間関係が大きく左右してきます。
その人間関係を良好に築くために大きな武器になるのが「ヨイショ力」です。
これは若い人も高齢者も同じです。
だから、早い時期から身に付けられることをお勧めします。