マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
各地で「秋祭り」がたけなわです。
皆様方の地域は如何でしょうか?
日本では、祭りが秋に集中しますが、その大きな理由は、秋が実りの季節で、収穫の季節だからです。
今回は「贈答」に触れますが、実は日本における贈答の起源は、神様へのお供え物です。
神事の際、神様に食物をお供えし、神事が終わると神事を司った人達が、そのお供え物を下げ、神様と共に食しました。
すなわち、「神人共食」という思想が当時からあったわけですね。
やがて、神事を司った人達から、神事に参加した人に、さらに参加した家の住人にまで食物が与えられ、最終的には、村人同士で、食べ物を贈ったり、贈られたりする習慣が生まれました。
今でも、贈り物に、食べ物が多く用いられるのはそのためです。
また、贈られたら、お返しをする日本独特に習慣も、その当時の名残です。
ちなみに、神と人が共食するシーンは、日本の年中行事やしきたりの中で至る所で見かけられます。
正月に使用する「祝い箸」、春の「花見」等はその典型的な例です。
また当時は、アワビを添えて、細いしめ縄を掛けて御供えしていたので、このスタイルは、今でも「水引」や「熨斗」と言う形で受け継がれています。
ところで、「贈答」とは、品物を贈ることと、それに対する返礼のことですが、今では、「贈り物」は、相手のお祝い事や喜び事を祝福する気持ち、あるいは弔事などに対する悲しみの気持ちを表すものですから、「お返し」を求めるものではありません。
そして、贈り方も様々ですが、基本的には、どのようなものが相手に喜ばれるかがポイントです。
また、贈り物には、誕生祝い・中元・お歳暮のように定期的に贈る場合と、結婚祝い・新築・出産・災害見舞・弔事など予定が立てられない場合があります。
加えて、贈答に関して、よく有る質問に「奇数」と「偶数」の関係があります。
これは何度も述べましたように、日本では奇数が格上で吉です。
だから人にものを贈る時には奇数を、弔事には偶数を用いるとされてきましたが、明治になり西洋の文化が入り、「ダース」という単位が生まれ、12や6がひと纏めになることが多々発生しました。
従って私は、この数字のタブーはあまり意味が無くなったと思います。
それより、贈り物を頂いたり、差し上げたりする機会が多い方は、「贈答控え」「贈答記録帳」等を作られるのもお勧めです。
良好な人間会を保つのに大変役に立ちます。
勿論、ビジネスにおいてもしかりです。
部署の移動などが有った際にも、引き続きがスムーズにいきます。
相手に贈り物を持参する時に、風呂敷に包み、挨拶を済ませた後で、前向きの言葉を添えて渡す人はマナー美人です。
またデパートや店から宅配する時に、前もって手紙を添えて贈る人も、かなりのマナー美人です。